消費税の10%への引き上げ延期?

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 新聞報道では、来年4月に予定されていた消費税の現行8%から10%への引き上げは延期の方向にあるようだ。 それでなくても景気の回復が思わしくなく、ここで消費税を上げるのはマイナスとの判断らしい。

 デフレ脱却と景気の浮上をなによりも優先するためには、消費増税の延期はやむを得ない。 そういうと世論にも訴えやすいが、果たして政府が景気上昇に向けての確たる見通しをもっているかについては疑問が残る。

 しっかりとした戦略を持っていないが故に、消費税の引き上げは延期したものの、デフレ脱却も景気浮上も掛け声倒れとなったら最悪である。 その横で、先進国で最悪をいく財政の悪化は着実に進む。

 そもそも論だが、デフレ脱却や景気の回復が遅々として進まないのは、これまでの政策に何か問題があるはず。 そこのところの検証を抜きにして、ただ消費税の引き上げはマズイといっているのは、政策運営としてはお粗末である。

 1992年9月の総合経済対策を皮切りに、2010年10月までに約349兆円もの景気対策予算を計上してきた。 年平均にすると19兆円ちょっとの予算投入となり、日本経済は3.8%ほどの成長を遂げてもおかしくはなかった。 ところが、日本経済は逆にしぼんでいる。

 また、日銀は1993年9月に公定歩合を1.75%へ下げ、超低金利政策に舵を切った。 その後、マイナス金利を経て今年の2月からはゼロ金利に突入した。

 以来、22年間にわたって家計から利子所得を奪い続けている。 通常の預貯金利子を3%として大雑把に計算すると、この22年間で日本の家計は360兆円ほどの本来なら得ていたはずの利子所得を手にしていないことになる。 その半分を消費に回すだけでも、日本経済は1.7%の成長を続けられたはずなのだが。

 こう見てくると、日本の経済政策は企業つまり供給サイドをなんとかしようの一点張りといえよう。 大量に資金を供給しつつ金利をマイナスにしてやれば、銀行の融資は増え企業の投資は拡大する。 それでもって景気を浮上させるというのは、あくまでも供給サイドの論理である。

 その横で、消費者つまり需要サイドが疲弊し生活防衛の守りに徹すれば、景気など拡大しようがない。 なにしろ、日本経済全体からみれば国民総生産(GDP)の60%強は、個人消費が占めているのだ。 そこを後回しにしていては、経済の活性化などおぼつかない。

 では、どうするか? それは、明日の長期投資家日記文を読んでください。

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