状況判断力と思考力

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 先週の金曜日、英国の国民投票でEU離脱が決定的になってきたころから、あちこちで新しい展開が出てきた。 先ずは、世界の金融マーケットが大荒れとなり、株式市場はどこも急落した。

 その後、英国では離脱に投票したことへの反省機運が高まり、国民投票のやり直しを求める議会請求が殺到している。 また、週末のスペインの選挙では離脱派の野党が求心力を失い、保守派の現政権が勝利した。

 情勢が急展開しており、これからどうなっていくのかで、人々のニュースに対する感度は高まっている。 新聞やテレビでも、知識人や専門家という人たちが駆り出されて、いろいろな見解を述べている。

 こういった時は、慌てず騒がずだ。 どうせ、ここから先どんな展開が待っているのか予測もつかないのだから、次から次へと入って来る新しい情報に敏感になってもキリがない。 そんな無駄な努力は無しとしよう。

 いずれ、この状況も落ち着いていく。 どんな風に世の中は落ち着いていくのか、そこを大まかで構わないから見越して、今やるべきことをやっておく。

 そういった思考力と、やや鈍感ぐらいに行動していく腹の据わり様。 そのふたつが、われわれ長期投資家にとっては大事である。 混乱時に右往左往したり、つまらない行動をすることほど、お粗末なものはない。

 よく情報収集力や状況判断力といったものが問われる。 それらは、短期決戦の場においては決定的な要件となる。 しかし、長期戦においては総合力や持久力が、ずっと重みを増す。

 では、世界の情勢はどんな風に落ち着いていくのか。 そこでも、政治や民族そして宗教間の対立とかと、人々の生活とを切り離して考える思考力が求められる。

 たとえば政治の世界でみると、ポピュリズムの台頭とか民主主義の限界とか、いろいろな問題が噴き出しており、そう簡単には静まりそうにない。 それらがどう収まっていくかなんてのは、ちょっとやそっとで片付く話ではない。

 一方、人々の生活に焦点を置く限り、そう難しい読みは必要ない。 世界中どこの国の人々も安定した生活を望んでやまない。 それがどうにも不可能となった地域からは、人々が脱出し難民への道を選ぶ。

 EU離脱を決めた英国の人々も、それなら独立してEUとの共存を図りたいとするスコットランド人も、誰一人とし貧しくなりたいとは思っていない。 すこしでも現在より良い生活を望んでやまない。

 そういった、より良い生活を求めてやまない人々の期待に応えていくのが、企業のビジネス活動である。 企業の物資やサービスを提供しようとする活動は、どんな政治体制下であろうと人々の歓迎を受ける。

 ところがだよ、生活者にとって大事な企業の株価を見てごらん。 見るも無残に叩き売られているではないか。 現在そして将来にわたって人々の生活に欠かせない価値を、マーケットでは足蹴にしているのだ。

 こう考えてくると、落ち着いて行動できるはず。 そう、いまも将来も大事な企業の応援株主になっておくことだ。 潰れっこないし、なんの心配もいらない。

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 ★注意 上記の内容は澤上篤人個人の見解であり、さわかみ投信株式会社の考えおよび「さわかみファンド」の運用を説明しているものではありません。 個人の真意を尊重するため、原則、文章の修正はせずにブログを公開しております。