Euphoria (ユーフォリア)は、根拠のない過度の幸福感といって、医学心理学的な用語である。
かつて、グリーンスパンFRB議長が1996年に「根拠のない熱狂」相場に対し、ユーフォリアと表現した。
昨今のピンポン玉なような株価の跳ね上がりに対し、投資家や市場関係者の多くがユーフォリア状態にある。
というか、ユーフォリア状態に酔っているともいった感じかな。
今朝も日経平均株価は急騰していて、いま現在863円高の52,188円をつけている。
5万円台に乗せたという間もなく、52,000円台だ。 すごい急ピッチの上げである。
日米首脳会談、日韓首脳会談を和やかな雰囲気で終え、今日は日中首脳会談の調整中とか。
それで株買い安心感が高まったのか、ともあれ投資家にとってはご機嫌の展開であろう。
マスコミ報道も、一部に警戒感を論じる横で、若い世代の投資家たちのマーケット参入などを大きく取り上げている。
マーケットの大きな下げを知らない世代ということもあって、どんどん強気になっているとか。
下げを知らないというのならば、世界のほとんどの個人や機関投資家も同じこと。
米国の株式市場でいえば、1982年の8月から現在にまで続く、43年越しの長期上昇相場が現在進行中である。
その前、黄金の50年代60年代を謳歌した後、1966年から米国株市場は長期の低迷にあえいでいた。
有力経済紙、ニューズウィーク誌では「株式の死」という、センセーショナルな特集を組んだほどの株価低迷だった。
ともあれ、43年越しの超長期の上昇相場が続いているのだ。 それが、ほとんどの投資家の原体験である。
もちろん、その間にはブラックマンデー、ITバブルの崩壊、リーマンショックといった暴落はあった。
だが、どれも短期間に株価は回復し、そのまま長期の上昇トレンドを乗っている。
したがって、個人も機関投資家も本当の暴落を知らないまま、株高ユーフォリア状態に酔っているといえよう。
その後ろに、ひたひたと本格的な暴落相場の影が迫ってきているのに気付いていない。
上がったものは下がる、それは自然の摂理。 その反動で、山高ければ谷深しとなるのは、毎度のこと。
ここは、大きな下げの影が忍び寄ってきていると考えておいた方がいい。
われわれ本格派の長期投資家からすると、ずっと前からの読み込みの範囲内で驚きはしない。
しかし、世界の金融マーケット全般は、とんでもない大混乱に陥っていくのだろう。
