一部では、トランプ氏の常軌を逸したような政策の連発を、マドマンセオリーと言われている。
支離滅裂で無茶苦茶な政策でも、それが猛スピードで次から次へと発動されると、多くの人はとても消化できない。
気が狂ったかと思えるような政策に、いちいち反論する間も与えず、次の政策を発動してくる。
そこを大統領権限で強引に押し切っていくのだから、トランプ氏の思うがままの独裁政治となっていく。
で、その着地点は一体どのあたりなんだろう? トランプ政治の目指すところは、何なのか?
トランプ政治はなににつけても、ディール(取引)だとして、ひたすら米国の利益を追求する。
その米国の利益だが、彼が属する金持ち層にとっての、さらなる利益を意識してのことか?
MAGA (Make America Great again) を連発しているが、一体どこまで弱者に手を差し伸べようとしているのか?
もっとも金持ち層がより豊かになれば、その余波はいずれ低所得層や貧困層にも及んでいくとはいえる。
しかし、この20年ほどでは、一部の高所得層への富の集中が異常なまでに進んだ。
一方で、良きアメリカを代表してきた中間層の没落を招き、Poor White (白人貧困層)が社会問題化してきている。
そのあたり、MAGA をがなり立てるトランプ政治が目指すところは、さっぱり見えてこない。
ところで、マドマンセオリーで大衆を振り回すことはできても、経済は別である。
先ず、米国の利益ということで関税を引き上げれば、各国も対抗措置を講じる。
それが世界貿易を縮小かつ非効率にさせ、物価高につながっていって、インフレ要因となっていく。
次に、米国への投資を強力に誘引するのはいいが、既存の米国産業界はどこまでついていけるのか。
米国へ進出してくる企業群の生産性や競争力についていけない国内の既存企業は、どうなっていくのだろう。
激しい企業淘汰の嵐が吹き荒れるようになるのは、経済の現場ではごく普通のことである。
それ以外にも、いろいろな経済的な混乱が噴き出てこよう。 それらは、マーケットの波乱に直結していく。
そう、経済の現場やマーケットはトランプ政治に唯々諾々と従ってはくれないだろう。
そのあたり、じっくりと見守りたい。