災害は忘れたころにやってくるといわれるが、経済における災害というか生活を脅かすような大混乱は、大半が予知できるものである。
もっとも、ニクソンショックや石油ショック、さらにはリーマンショックなどは、突然に降りかかった印象の方が強い。 後講釈的に、その予兆はこれこれしかじかで見られたといえるが、ほとんどの人が何の準備もしていなかった。 それが故に、あれほどの大混乱となったわけだ。
ここのところが、大事なポイントとなってくる。 ある程度は予知できるものなら、さっさとその準備というか対応処置を進めておいた方が賢明であろう。
まして経済の場合は、起こり得るだろう災害に対する準備を進めるか否かで、どちらが得か計算ができるという利点がある。 どんな準備でも、コストが高すぎたら意味がないのだから。
たとえば、9月20日に産経新聞出版から出される新著、”2020年に大差がついている長期投資” では、ちょっと大胆だが思い切って財政破たんリスクに踏み込んでいる。
日本の借金財政はどうみても限界に近い。 それどころか、どんどん悪化しているのに不思議なほど安定した綱渡り状態が、長いこと続いている。
このままなんとかなっていくだろうで安穏と構えるのは、それぞれの自由である。 しかし、どこかで借金財政が行き詰った時の大混乱は、生活をあらゆる角度から直撃することになる。 その覚悟はしておくべきだろう。
そこでだ、新著に書いたのは生活者として財政破たんの備えに入っていこうという点である。 今すぐにでも始めたいのは、預貯金から株式への資産の全面シフトである。
そのコストといっても、預貯金の年0.02%に対して株式投資の平均配当利回りは年1.84%と、株式シフトした方がはるかに有利である。
それ以上に、どんな経済混乱が押し寄せようと人々の生活はなくならないし、それを支える企業活動も途絶えることはない。 つまり、株を買っておくことが一番安全なのだ。
その時になったら分かる。 このままユデガエル状態でいってしまうのか、長期投資に踏み込んで良かったかは。