日本はなにもかも米国に追随すれば、それで良しとしている。
植民地根性というか、思考停止というか、なんとも情けない話である。
たとえば、金利をゼロにして金融を大幅に緩和すれば、景気は浮上するという政策だ。
米国の場合、個人金融資産のうち預金勘定と株式や投信に向けている勘定との比率は、1対5である。
したがって、金融を緩和すれば株式市場が活況となり、株高がもたらす資産効果が消費拡大につながっていく。
つまり、景気拡大効果に直結する政策となる。 現実に、株高が米国景気を大きく支えてきた。
一方、日本は預金と投資勘定の比率が、4.7対1となっていて、米国とはちょうど逆である。
ということは、いくら金利をゼロにして株式市場を活気づけたところで、その資産効果は限定的である。
逆に、ゼロ金利で家計が利子所得収入を大きく減らし、それが消費減退に直結する。
ちなみに、984兆円の預貯金勘定(日銀統計、昨年12月末)からの利子所得は、1兆円ほどでしかない。
これでは、個人消費が一向に高まらなくて当然だろう。 それが、ゼロ金利政策の結果である。
ところが、通常の3%とか4%の金利だと家計には、29兆円とか39兆円の利子所得となる。
20%の源泉税を払った後でも、23兆円とか31兆円の所得増となり、国民は豊かさを実感できる。
ちなみに、利子収入(源泉後)の70%が消費にまわるとすると、日本経済には3%とか4%の成長加速要因となる。
そう、貯蓄志向の高い日本人にとって、超低金利やゼロ金利政策はおそろしくマイナスとなるのだ。
その愚策を、1995年から27年間も延々とやってきた。 その間、日本は個人消費をずっと押しつぶしてきたわけだ。
日本のGDPにおける個人消費の比率は60%前後なのに、50%台に抑え込んだ分だけ日本経済は低迷したといえる。
一方、国が進めた金融緩和による企業の投資意欲拡大は、さしたる効果を生んでいない。
もともと、企業投資のGDPにおける構成比率が低いし、企業サイドも余剰資金の抱え込みに走った。
それも、日本経済がずっと低迷している、ひとつの理由である。
そう、日本においてはゼロ金利政策は百害あって一利なしなのだ。
そのあたり、どうして検証しようとしないのだろう?