米国では、一握りの資産家層が株式や投信の過半を保有しているといわれる。
すさまじいまでの富の偏在化である。 日本でも富裕層といわれる人たちへの富の集中は進んでいる。
その人たちの富なんだが、どのくらいが実体を伴ったものなのか、すこし憶測してみようか。
案外と多いのが、この10数年の金融バブルに乗って資産額を膨らませた、金融成り金ではないのかな。
個人投資家の間でも、株式投資でもって億円単位の資産を築いたという人が結構いる。
この人たちの多くは、ペーペー資産家という類いである。 ペーパー資産家?
そう、彼らの多くは、近い将来にやって来る金融バブルの大崩壊で、資産とやらの大半を失うことになろう。
もちろん、今すぐに保有資産を現金化して、田舎にでも引っ込んでしまえるなら、話は別である。
株高バブルの間にペーパー資産を現金に換えて、それで田舎の土地でも購入して隠遁生活に入るのだ。
さすれば、多くの現金を保有しながら、コストの安い田舎で生活することで、本当の資産家になることができる。
ところが、多くの人たちはこのまま金融市場に居残って、バブル崩壊にお付き合いすることになる。
つまり、いまある資産とやらのほとんどを失って、バブルで膨れ上がった富は張子の虎だったことを思い知る。
機関投資家は昨日も書いたように、上昇相場を途中下車できない。 音楽が鳴り終わるまで踊り続けるのを求められる。
バブルの膨れ上がりとともに、資産勘定を肥大化させる。 そして、バブル崩壊でその大半を失う。
個人のペーパー資産家と同じ道を歩むわけだ。 いつのバブル崩壊でも、同じような結末を迎えることになる。
われわれ本格派の長期投資家は違う。 早い段階からバブル相場とは一線を画し、次の手を打てる準備に入っている。
すなわち、バブル崩壊の痛手は最小限に抑えつつも、暴落相場をバーゲンハンティングにいくのだ。
次のラウンドに向けて、買い仕込みチャンスを虎視眈々と狙っているわけだ。 これが、本物の投資家である。
さわかみファンドの運用の根幹をなす、アセットアロケーションの切り換えからは、金融バブルなどに踊ることなどない。
田舎に隠遁するもよし、本物の投資に徹するもよし、大事なのは自分のペースを守ることだ。