世界の経済学者のほとんどが、インフレなど起こり得ないという方向で、考えは一致している。
まして、コロナ禍の第2波、第3波で生活消費を中心にして経済活動は大きな打撃を受けている。
いまや、インフレ警戒感どころか、むしろデフレ経済へと落ち込んでいく懸念さえ高まっている。
ここは、経済のデフレ化を防ぐためにも、とにかく資金を大量に供給すべし。
インフレなど起こり得ないから、いくら金融緩和しても構わない。 そんなところだろう。
たしかに、現状をみる限りインフレの心配などせず、経済の立て直しに財政支出を拡大や一層の資金供給すべしとなろう。
現状とその対応に関していうなら、それでいいのかもしれない。 データでいくらでも裏付けられる。
ただし、その先でどんな現象が待ち構えているかについては、どの学者もそれほど考えていないようだ。
というか、未知の経験ゾーンに対する洞察力が、まったくといっていほど働いていない。
マイナス金利に突入するほどの金融緩和も、これだけ資金を大量供給するのも、人類の歴史で初めてのこと。
それらが、世界の経済活動に一体どんな展開や結果をもたらすのか、まさに未知の体験となる。
さあ、どうなっていくのか? こういった時には、常識でもってひとつひとつを洗い直してみるといい。
まず、これだけ大量に資金をそれこそ湯水のようにばら撒いてきたのだから、お金の価値は間違いなく下がっているはず。
かといって、物価はさっぱり上がってこないし、インフレのイの字も感じられない。
それに安心して、人々は価値が下がり続けているマネーから、モノへのシフトを急ごうとしない。
そういった状況に、果たして人々はいつまで安穏としていれるだろうか?
物価が落ち着いているのをいいことに、価値の下がっているマネーを抱え続けているものの、それが将来の安心につながっていくのか?
どこかで、このままで大丈夫だろうか、なにか対策を講じておくべきでは、といった自問自答が高まってこよう。
だからといって、バブル高している株式市場に飛び込んでいくのには、躊躇してしまう。
では、どう対処していくのか? この潜在意識は、人々の間で静かに燃え広がっているはずである。
そう、お金の価値が下がっているのだから、お金をなにかにシフトさせて資産防衛しなければの意識は、人々の間でどんどん高まってこよう。
そのエネルギーが突出する時が、インフレの火が燃え上がるということになるのだろう。