マネー浸し経済に感染するな

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コロナ感染という厄介者は、一刻も早く消えてなくなってもらいたいもの。

もう一つの厄介者は、マネー浸しの経済をもう当たり前のようにしてしまっている感染症だ。

この感染症に世界中が罹っていて、いずれは収拾のつかない大混乱が、金融マーケットや世界経済に襲い掛かることになろう。

たとえば今日の新聞では、日銀が株式ETFを買い続けた結果、11月末で公的年金を超えて日本最大の株主となったとのこと。

公的年金を預かり運用するGPIFでは、最近はずいぶんと議決権行使などで、大口株主として企業へのけん制を強めてきている。

しかるに、日銀は株価を引き上げて景気対策に貢献しようと、ひたすら株式ETFを買い増すばかり。

気がついたら日本最大の株主となっていたということだが、日銀はこの先どう株主としての責任を果たしていくのだろうか。

株式ETFというパッケージを買っているから、その中には本来なら脱落していくべき企業の株式も大量に入っている。

そういった企業の存続を許すのみならず、この金融バブルが崩壊した先では、日銀自身が売るに売れない株式ETFを大量に抱えて右往左往することになる。

あるいは、米国の運用会社には800兆円を超す資金が流れ込んでいる。 日本経済の1.5倍というとんでもない規模の運用資金を預かっているのだ。

彼らの運用先は、まさにマネー浸しとなっている金融界である。 実体経済の20倍にも膨れ上がっている金融マーケットに手広く資金を張り付けているのだ。

現行のバブルが崩壊したら、どうやって運用資金を回収して、預け先に返却するのだろう?

運用難だからと、その運用会社に資金を預けている金融機関や年金などは、何の不安も感じないのだろうか?

じつは、その運用会社だけではない。 大手の運用会社はどこも競って巨額の運用資金を集め、やはり金融マーケットで運用している。

それらの運用資金は金融バブルが崩壊すれば、巨額の損失を被ることになるのは避けようがない。

そのあたりの懸念というか、早めに金融マーケットから離れておこうとする動きが、まったく見られない。

まさに、それこそがバブルなんだが、もうマネー浸し経済の感染症というしかないだろう。