手元に、NYダウ工業30種平均の株価トレンドを「対数グラフ」で表示したものがある。
通常の株価チャートなどは、目盛りが等間隔なので数字が大きくなればなるほど、グラフ表示も大きくなる。
たとえば、100をベースに10の伸びと、1,000をベースに100の伸びだと、10と100の伸びでグラフ表示は10倍の差となる。
実際は、どちらも10%の伸びで、同じ成績である。 それが、通常の目盛りでは10倍もの差という錯覚をもたらしてしまう。
したがって、右肩上がりで大きく跳ね上がった株価チャートなどをみると、すごく儲かったという気持ちにさせられる。
投資運用なかんずく資産形成においては、何%ぐらいの伸びで財産が殖えているかを問う。
となると、通常のグラフだと100も伸びたからすごいと、そこで満足してしまう。 そこに大きな落とし穴があるのだ。
見かけ上は凄い伸びだが、実際は10%伸びたにすぎない。 つまり、100が110になったのと同じことだ。
あるいは、よく日経平均が500円も急騰したとかで大騒ぎするが、そんなもの2%の伸びにすぎない。
そこで登場するのが、対数表示のグラフである。 こちらの目盛りは、10,100,1000,10000,100000と、10倍ずつの刻みとなっている。
こちらでは、ベースとなる数字がいくら大きくなっても、表示されるのは何%の伸びだったかだけ。
別の見方をすると、対数チャートで右肩上がりのトレンドを示しているのなら、それは年平均で何%の伸びかを教えてくれるわけだ。
NYダウ工業30種平均に戻ろう。 手元のは、1950年1月から昨年末までの70年間の値動きを対数表示したものだ。
みると、きれいな右肩上がりのチャートなっている。 これが、長期の株式投資による資産形成である。
そのうち、1966年から82年までと、2000年に入ってから2011年までだけは、上がったり下がったりしながら全体では伸びていない。
つまり、この間の財産づくりは一向に進んでいない。 ということは、70年間のうち17年間は例外的に期待外れだったわけだ。
そういった例外を考慮したところで、 20年30年という時間さえ取れれば、なんの問題もない。
やはり長期の株式投資は、すごい財産づくりとなってくれると判断できよう。
一時的にはモタモタしたとしても、それを超えた先には素晴らしい資産形成が待っている。