新著「金融バブル大崩落、どう乗り切るか」が、年末から新年には日経BP社から刊行される。
草刈が第1章~3章、自分が第4章~9章までを担当。 ともあれ、ようやく脱稿まで漕ぎつけた。
「終わりに」で書いておいたが、この先どうなるかで、二つの考え方がある。
一つめは、現状をみる限り、このバブルずっと続きそうな気配がある。 それを全面的には否定できそうにない。
なにしろ、世界の中央銀行ともいわれている米FRBのパウエル議長は、金融緩和を続ける、2023年までは金利を上げないと明言している。
このカネあまり株高バブルに踊っている人たちにとっては、これほど力強い味方はいない。
それどころか、各国は膨れ上がる一途の財政支出で国債増発は避けらない。 それに対し、中央銀行を動員した財政ファイナンスに傾斜しつつある。
日銀に至っては、事実上の財政ファイナンスで、既に国債発行残高の57%をも所有している。
財政ファイナンスはハイパーインフレに直行するからと、どこの国でも法律で禁じている。
それでも、コロナ禍を乗り切るためにはやむを得ないという論理が世界中でまかり通っている。
もう一つは、思考力を駆使して先行きの見通しを立てることだ。 われわれの新著は、こちらを採る。
現在進行中の壮大な金融バブルは、どう考えても限界に近付いている。
金融を緩和し、大量に資金を供給しさえすれば、景気は良くなり経済成長率は高まるとするマネタリズム理論で、世界はかれこれ40年近くやってきた。
しかし、ほとんど成果は見られない。 唯一の成果は、株高などの資産効果で富裕層をますます潤したぐらい。
反面、ゾンビ企業の増加をはじめ、低所得者層の増加や国家債務の著増といったマイナス面が、マネタリズムの弊害を象徴してきている。
さてさて、この壮大な金融バブル、もういつ崩れに入ってもおかしくない。
なにがきっかけとなるかは神のみぞ知るのところだが、熟柿が木から落ちる寸前の状態にあると思う。
金融バブルの崩落で、株式市場はじめ金融マーケットは大混乱に陥ろう。
カネあまりに踊ってきた世界経済も、ズタズタとなろう。 社会にもそれなりの影響があろう。
ただ、すごい混乱の渦中から、実体経済というものが再認識されることになる。
カネあまりのバブル経済から、人々の生活とそれを支える企業活動が前面に出た、まともな経済への回帰だ。
そこが、新著の主題である。