幸せな、ちょっぴり贅沢

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 われわれ一般生活者にとって、日々の暮らしで一杯いっぱいというのは、よくある話。 でも、ちょっと心の持ちようを変えるだけで、人生ずいぶんと豊かなものになっていく。

 昨夜のオペラコンサートがまさに、その典型だった。 オペラの本場イタリアでも最高峰のひとつとされるボローニャ歌劇団による、蝶々夫人のハイライトとプッチーニ特集は素晴らしかった。

 指揮を振るは、日本人で初めてそれも45歳の若さでボローニャ歌劇団の芸術監督に就任したマエストロ吉田裕史。 彼の表現力豊かで情熱的な指揮によって、あの誇り高きボローニャ歌劇団のフィルハーモニーが活き活きとした演奏をしてくれた。

 なんとも価値のある2時間半だったが、そのチケットは2,000円3,000円5,000円それに1万円である。 これを高いとみるか、いやーすごく価値あったとみるかは、昨夜あの場にいたかいなかったかで全然違ってくる。

 渋谷のオーチャードホールに足を運んでくれた人たちにとっては、幸せな贅沢をたっぷりと味わえたチケット代で、こんなに安くていいのと感激したはず。

 大事なのは、贅沢の中身だろう。 今回のオペラコンサートは、さわかみオペラ芸術振興財団が主催したが、興業的な成功よりも音楽を愛する人々に最高の演奏をお届けしたいという大きな方向性あってのこと。

 それが故なんだろう、会場の皆さんとマエストロ吉田そしてボローニャ歌劇団が一緒になって盛り上がった一夜となった。 音楽やオペラは一期一会といわれるように、その時その瞬間の輝きに価値がある。

 そういった臨場感そのものに、高い価値を感じてもらえるのも、ひとつの文化なんだろう。 たまたま音楽とかオペラを題材にしたから臨場感を取り上げただけで、価値のあるお金の使い方は、いくらでも見つけられる。 その全体が文化といってもいいはず。

 こう書いてくると、もうピンときたのでは? そう、われわれの長期投資もまさに文化なのだ。 経済とか財産づくりを題材にしているものの、価値のあるお金の使い方をとことん追求するのは、もう文化の域にあるといっていい。

 そういった意識をもって長期投資を進めていきたいものだ。 ちょっと青臭いと思われるかもしれないが、美しく品のある財産づくりができていく。 同じ財産でも殖やし方が違うと、それを使う時の価値も月とすっぽんとなっていく。

 大事なお金だ、ささやかなりとも贅沢に使って生きていきたいもの。