応援投資家

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 3月決算を前にして、多くの企業が持ち合い株式の値下がりによる評価損に苦しんでいる。 海外企業からなどからの敵対買収に対抗するため、企業同士が互いに株式を持ち合って安定株主比率を高めようとしたもの。

 一時、海外の大手鉄鋼グループが日本の高炉メーカーを狙っているのではといった懸念が高まった。 それで、各社は株式の持ち合いに走った。 買収防衛のために巨額の資金を固定化するわけだから、企業経営における資金効率は下がる。 そして、いまは特別損失として処理を迫られている。 買収は未然に防げたかもしれないが、ずいぶんと余分な出費をしたものだ。

 敵対買収提案はいつ飛び出てくるか知れたものではない。 とはいえ、こちらの株価が安い時のほうが危険度は格段に高い。 であるならば、相場暴落時に俺達の出番だと買い向かう長期投資家がどんどん増えれば、買収提案が出される恐れは少なくなるはず。

 長期投資家にとっては株価の安いときに買い仕込んでおいて、将来どこかで高くなってきたときに利益確定することで、たっぷりと投資のリターンを確保できる。 自分達の長期投資を淡々と進めるだけのこと。 せいぜい、この企業はなにが何でも応援するのだという熱い気持ちで、相場暴落時に買い出動することが求められるぐらい。

 企業サイドからみれば、持ち合いで巨額の資金を固定化させることなく、敵対買収提案の懸念を軽減できるから実にありがたい。 自社の株式をどんどん買ってくれるのは、生活者応援団の人たちだ。 これほど心強いことはない。

 これも、長期投資の社会的意義のひとつである。

 

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