選挙戦が始まった。 ほとんどの党が、減税とりわけ消費税の食料品減税などを公約に掲げている。
また、どの党も積極財政をはじめ票集めにつながるようなスローガンを、これでもかこれでもかと並べ立てている。
反面、財政悪化に関してはどこも知らん顔で、いまの物価高に対し国民を守るの一点張り。
突然の短期選挙戦だからということもあろうが、それで一体どこまで国家運営を任せられるか大いに疑問である。
たとえば、消費税減税といっても、食料品だけでも5兆円の税収入がなくなる。
かりに、消費税そのものの撤廃となれば、30兆円を大きく上回る税収減となる。
来年度予算のうち、社会保障費が34兆円で、国債費が31兆円となっている。
消費税を撤廃すれば、社会保障費や国債費の予算のどちらかが組めなくなる勘定である。
そもそも、国の税収入は80兆円ほどであって、消費税は最大の税収源である。
いくら物価高から生活を守るといっても、そう簡単に消費税の減額に踏み切れるものではない。
もっとも、成長戦略で日本のGDPを1000兆円に拡大すれば、120兆円ほどの税収を確保できるという声もある。
といっても、現在630兆円の国内総生産(GDP)だ。 3%成長を16年続けて、ようやく1000兆円のGDP達成である。
5%成長なら10年続いて、1000兆円だ。 果たして、16年いや10年も日本の財政がもつだろうか?
また、積極的に成長戦略を推し進めていけば、金利も上昇していく。
すると、財政赤字を賄うために毎年40兆円ほどの国債発行をしているが、金利上昇分だけ発行コストは上がる。
より正確には、既発国債の満期償還分の借り換えも含めると、国は毎年100兆円を超す赤字国債を発行している。
それらの金利コストが一気に跳ね上がる。 となると、いまの国債費31兆円が、40兆円50兆円となっていくわけだ。
一方、日銀はというと、既に国債の総発行残高の53%をも保有している。
とんでもない国債保有だが、ほとんどが金融機関から買い入れたもので、代金の代わりに当座預金として積ませてある。
その当座預金に対する利払い費が、金利上昇によって日銀の財務を大きく圧迫する。
つらつら考えるに、消費税の減税とか撤廃どころではないほど、日本の財政は酷い状態にある。
その酷い財政状況を踏まえた上で、責任ある積極財政を展開してもらいたいものだが、さてさて一体なにができるのか?
票集めの甘言は止めて、ここは財政を立て直しつつ成長を模索する、苦い薬の政治を語ってもらいたいものだ。
