新NISA制度が導入されて7か月が過ぎ、7兆円を超す個人マネーが投資に向かっているとのこと。
「貯蓄から投資へ」を標榜する政府や関係者にとっては、してやったりの展開だろう。
しかし、この長期投資家日記でしばしば書いてきたように、タイミングが悪すぎる。
新NISA制度そのものは「貯蓄から投資へ」に、拍車を賭けさせる格好の材料となるのは確か。
しかし、今年の年初から新NISA制度を大々的に始めるのは、タイミング的に最悪とずっと指摘してきた。
なにしろ、多くの投資対象商品や個別銘柄が、カネ余りバブル高を続けてきた。
ずっと高値を追っているから安心して買えると誘うのは、証券など金融マン達の常道である。
しかし、新NISAの制度を囃す彼らの誘いに乗って、投資はじめての人達が高値掴みをしないか。
高値掴みしたら、税優遇も何もない。 われわれ本格派の長期投資家からすると、大いに懸念される。
現に、新NISA銘柄として人気化してきた投信や個別銘柄の多くが、ここへきて微妙な値動きとなってきた。
まだ新NISA制度をはじめたという高揚感に浸っているから、そう気にはならないかもしれない。
この先、買った投信の基準価額や株価の低迷が続いたりすると、投資はじめての人たちの間で不安も高まってこよう。
そうなると、新NISA制度への期待も「貯蓄から投資へ」の流れにも、水が差されかねない。
昨年までの旧NISA制度においてもそうだったが、投資慣れした人たちにとってはご機嫌だった。
パッと買ってパッと売り、そこそこの値幅を稼いで税優遇を満喫して、後はおさらばだ。
その点、積み立て投資をはじめ長期の財産づくりを目指している人たちにとっては、パッと売るなんてない話。
じっくりと積み立てや個別株投資に取り組みたい。 それには、安いところで投資をはじめる方が気分もいい。
その意味でも、こんな高値で投資をはじめるのはタイミングが悪すぎる、そう主張してきたわけだ。
もっとも、証券はじめ金融マン達が大騒ぎしている投信や個別銘柄は、ほんの一部である。
その横で、地味な値動きに留まってきた投資対象は、山ほどある。
この先、金融マーケットの大きな調整があっても、バブル買いされてきてないので、さほど売られないだろう。
それらを対象にして、新NISA制度を活用するのであれば、落ち着いて長期投資に取り組める。
こういったアドバイスが、本当の投資教育というもので、金融上がりの人たちにはできない話だろう。