週末に急きょ、スイス最大手の銀行UBSがクレディスイスの買収を決めた。
かつては、スイス3大銀行と称されたが、先にSBSがUBSに吸収合併されて、2大銀行の体制となっていた。
今回クレディスイスの買収で、金融立国スイスも大手銀行はUBSだけの1行体制となる。
スイスは金融立国を旗頭にして、世界の富裕層の間で絶大なる安心感を欲しいがままにしてきた。
大小さまざまな銀行が、プライベートバンキングを主体の資産預かり管理業務に徹してきた。
質実剛健なる堅実経営こそが、3大銀行を筆頭にスイスの銀行群にとって唯一で最大の売り物だったはず。
ところが、この30年ほどで、どの銀行も野放図な事業拡大に走るようになっていった。
年金をはじめ機関投資家ビジネスにのめり込んでいったり、投資銀行業務に手を出したりと、業容をやたら拡大してきた。
その結果、大きな投資損を抱え込むなど、信じられないようなスキャンダルが多発するようになっていった。
本業のプライベートバンキングでも、マネーロンダリングで司法追及されるなど、かつてなら考えられないこと。
クレディスイスも、ご多聞に漏れずというか異様なまでのダボハゼ経営に走った挙げ句、買収されることになった。
かつての堅実さを知っている立場からすると、スイスの銀行も地に堕ちたものだと慨嘆に耐えない。
そもそもは、この40年余りの世界的な金融緩和政策と金融ビジネスの急拡大に、どの銀行も煽られた面が強い。
なにもスイスの銀行に限らない。 2008年9月に発生したリーマンショックでも、信じられないことが起こった。
あのドイツ銀行がと、誰もが耳を疑うほどに、巨額の不良債権を抱え込んでしまった。
金融の時代とかで、証券化商品などの金融商品に幅広く手を出した挙げ句に、経営不安に陥ったのだ。
さすがに経営破綻にまでは追い込まれていないが、ドイツ銀行のフラフラ状態がEU経済の足を引っ張ってきた。
ここへきての、相次ぐ米銀の経営破綻やクレディスイスの買収劇は、さらにまだ横へ広がっていく可能性が高い。
ずっと書いてきているように、金融緩和バブルの崩壊への流れが着々と進んでいる。
われわれ本格派の長期投資家にとっては、そろそろ大出動に入る準備を高めておこう。