国の役割と、民間のビジネス意欲

Browse By

世界的なインフレの高進と金利上昇で、いずれ国も日銀も借金の重みで身動きが取れなくなるだろう。

ひとつ間違えると、日本経済も社会も一度、ガラガラポン状態にまで叩き落されかねない。

ひどい混乱となるが、その中から生命力や自助意識が旺盛な個人や企業が台頭してくることになる。

もちろん、国の運営や社会の在り方も激変するだろうし、昨今の他力本願オンパレードのだらしなさは一掃されるはず。

他力本願のオンパレード? そう、なにもかも国に頼ってしまい、個人や企業の自助の精神がどこかへ行ってしまった。

そもそもからして、国が果たすべき役割と、民間の自助の精神でビジネス努力や挑戦を重ねるのは、別ものである。

エネルギーで考えてみよう。 石油や天然ガスはじめエネルギーのほとんどを輸入に頼っている日本だ。

国家戦略として、エネルギー自立を図るのは最優先課題である。

どうするか? 国としては、大きな方向性を出す。 その時、電力会社など既存の意見を聞く必要はない。

たとえば、10年以内に洋上風力と地熱発電などの国産エネルギーで100%を賄う体制を、なにがなんでも確立すると決めてしまう。

四方を海に囲まれているし、世界第3位の地熱エネルギーを保有している日本だ。 本気になれば、いくらでもエネルギー自立は達成できる。

それまでの間は、既存のエネルギー源でなんとか食いつなぐ。 そう方向を定めて、後は民間の事業意欲に委ねるのだ。

国として確固たる方向を打ち出してやれば、民間はエネルギー供給という巨大なビジネスチャンスに積極投資しない理由はない。

その時、巨大な送電網を築いていくことになるか、エネルギーの地産地消が一気に進むかは、民間の投資に任せていい。

そこを、国がやろうとすれば政治力や利権が絡んでくるし、どうしても現状固定型となってしまう。

一方、民間にやらせたら長期的に儲かる方向で投資を進める。 その方向で、新しい経済図絵ができていくのだ。

たとえば、分散エネルギーの普及が、日本経済の地方分散を促進することにもなる。

はっきりしているのは、国は方向を出してやり、初期のインフラ資金を投入するだけでいい。

後は、民間の事業意欲とビジネス投資に任せてしまう。 その結果、なにからなにまで国に頼るゾンビ事業はなくなる。

もちろん、日本経済の活性化はごく自然体で進むし、社会構造も大きく変わっていく。

国は借金で真っ赤だが、個人と企業は合計すると、1400兆円もの現金を持っている。

エネルギー投資だろうと、地域経済活性化だろうと、その気になれば何でもできるのだ。