アルケゴス問題で巨額の損失が発生したとかが、世界の金融マンの間で話題となっている。
ファミリーオフィスという、比較的に緩やかな規制で運用できる会社が、世界中で次々と生まれている。
彼らは運用内容などを細かく開示しなくてもいいのを幸いに、現在進行中の金融バブルに乗って大暴れしている。
なにしろ、このカネあまり金融バブルだ、どの金融機関も収益機会を狙って、鵜の目鷹の目となっている。
その点、急拡大してきているファミリーオフィスは格好の儲け先である。 いろいろなサービスを提供することで、うまみの多い収入源となる。
たとえば、取引先の投資銀行などが間に入って、元金の数倍のレバレッジをかけたり、そういった取引勘定のスワップに応じてやる。
レバレッジをかけるとは、元金を担保にして、その数倍の資金を借り入れて投資にまわし、大きな利益を狙うことだ。
スワップとは、金融取引の勘定をそれなりの手数料を払って、定められた期間を他の金融機関に買い取ってもらう。
これらのどちらも、手持ちの現金よりはるかに大きな資金を投資にまわせるわけで、投資家にとっては大歓迎。
金融機関にとっても、知恵と工夫次第ではどんどん新しい取引手法を編み出せる。 かくして、いまや金融サービスの花形となっている。
ともあれ、ファミリーオフイスなどでは、上手くいけば巨額の儲けを手にできるわけで、バブル相場では打ってつけの投機手法となる。
逆に、ひとつ歯車が狂えば、たちまちガタ崩れしてしまうもろさも併せ持っている。
レバレッジを引き受けている金融機関にとっては、担保に取っている資産の価値が少しでも下がったりしたら、すぐさま赤信号がともる。
即座に追加担保を要求するかして、貸している資金の安全と回収可能性を確実にしなければならない。
スワップ勘定を引き受けている金融機関にとっても、無事に所定の期間をクリアできるかどうかだ。
クリアできないとなれば、受け取っている手数料などではとうてい間尺に合わない損失発生となる。
問題は、ファミリーオフィスなどが投資(投機)している内容が、よくわからなかったり複雑怪奇となっていることだ。
すると、投資(投機)先のみならず、レバレッジの担保やスワップ取引の先など、いろいろなところで疑心暗鬼を生じかねないということになる。
今回のアルケゴス問題でも、取引の一角に絡んでいた米国の投資銀行が、担保に取っていた資産をさっさと売却したことに端を発する。
その投資銀行はさっさと現金を回収したから、それで一件落着である。 自分さえ良ければの、金融取引ではよくある話だ。
ところが、その他の金融機関からすると、抜け駆けを食らったようなもの。 アルケゴス関連の金融取引が空中分解してしまい巨額の損失を計上する羽目になった。
もちろん、当のファミリーオフィスであるアルケゴスも、ひどいことになっているはずだが消息は判らない。
金融取引は信用で成り立っているが、その信用も実は担保次第。 そして、担保はマーケット次第。
このあたりも、いずれ来る金融バブル崩壊に大きく絡んでくるのだろう。