世界の金融バブルは、ますます膨れ上がる一途となっている。
その横で、経済活動の現場あちこちでも、カネ膨れの弊害が目立ってきている。
金融を大幅に緩和し、資金を大量に供給しさえすれば経済は成長するという理論で、世界とりわけ先進国は突っ走ってきた。
日本では、1990年代に入って土地や株式投機バブルが崩れるや、企業や銀行は潰させない、大量失業を発生させないという政策を採った。
そこで、金利をゼロ同然にまで下げ、総合経済対策を連発するは、日銀も国債などの買い入れで市中に資金を大量に供給する政策を採った。
それから30年たったが、日本経済はジリ貧と低成長に甘んじたままでいる。
政策当局はデフレ現象を食い止めたというが、それもちょっと解せない点がある。
バブル崩壊で発生した土地や株式の資産デフレは、各経済研究機関の間で1200~1600兆円と推測された。
それに対し、総合経済対策などで投入した資金は600兆円に上る。 ゼロ金利政策で家計から吸い上げた利子収入は500兆円強だ。
合わせて1100兆円ほどを、企業や銀行を潰さない方向へ振り向けたわけで、言ってみれば後ろ向きの資金投入であった。
たしかに、バブル崩壊による資産デフレの大半はカバーされたから、デフレ現象を食い止めたといえよう。
しかしだ、これは企業や銀行救済を目的とした、完全に後ろ向きの資金投入である。 より正確にいうと、死に金だ。
バブル崩壊で蒙った資産デフレは、当事者の企業や銀行が責任もって後始末すべきものであった。
すなわち、経営責任と株主責任を問い、後始末できなければ裁判所で会社整理する。 それが、民間ビジネスの常識というものだ。
また、当事者責任を問うことで、バブル企業や銀行の資産デフレにすぎないものが、日本経済全般にまで及ぶ必要もなかった。
かりに、1100兆円を前向きに投入していたならば、単純計算ながら日本経済はずっと年7%ほどの成長を遂げていたはず。
実に惜しい話である。 その間、唯一といっていい成果(?)が、2013年からの株価上昇である。
その資産効果で、日本経済の一部はバブル的に明るくなった。 それ以外は、なんのプラスにもなっていない。
これが、金融を緩和し資金を大量に供給すればのマネタリー政策による、この30年間のお粗末な成果である。
お粗末どころか、そろそろマネタリー政策の反動が出てくるのを覚悟しなければならない。
続きは、明日書きます。