いかなる投資家も、マーケットに自分の都合や願望を押し付けることはできない。
もう年だからといって、1~2年で大きく儲けて引退したいと願ったところで、それは個人の勝手なる願い。
マーケットに対しては、あくまでも参加するかどうかの判断だけだ、どの投資家も自由になるのは。
短期のディーリング売買だろうと、長期投資だろうと、マーケットに参加する以上は、あれこれ注文など付けられない。
できるのは、どう参加するかの判断だけ。 買うもよし、売るもよし、さっさと注文を出すだけである。
その意味では、一刻も早い金融バブル崩壊を待ち望んでいる新著は、真っ正面からマーケットにものを申している。
これは、投資家としてあるまじき行為といわれかねない。 金融バブルと思うなら、さっさと売るという行動を取るだけのこと。
バブルと思う人たちが売ったところで、相変わらずバブル高が続いたならば、それがマーケットというものなのだ。
もちろん、評論家が書をしたためるなら、マーケットに対して何をどう書こうと自由である。
ところが、新著はさわかみファンドの創業者と現役バリバリの運用責任者との共著である。
その二人が、現行の金融バブルは狂っている、もういつでも崩壊に入っておかしくないと、新著で訴えているのだ。
なんで、また? まさに、バブルだからだ。 マーケットの機能がことごとく、バブルの渦に巻き込まれているからだ。
需要と供給を調整する機能も、それに基づく価格発見機能も、市場からの退出を促す機能も、すべてカネあまりバブルに押し流されてしまっている。
あるのは、価値判断やバランス感覚などを捨て去って、バブル相場に踊りまくっている狂乱のみ。
いつのバブルもそうだが、終わってみると「なんで、あそこまで狂い買いしてたんだろう」と、みな茫然自失となる。
そして、バブル資産の蒸発にともなう、巨額の投資損失と不良債権の地獄で、みなのたうち回ることになる。
その警告だ。 われわれ本格的な長期投資を世に訴えている立場からすると、ここで黙ってはいられない。
できるだけ多くの人々に、そんな修羅場を無傷で乗り切ってもらいたいと願う。
それだけではない。 バブル後に来る、より落ち着いた経済に向かっての布石を、どんどん打っていこうと訴えたいのだ。
まあ、ともあれ、われわれの新著を手に取ってみてください。