さわかみオペラ財団では、6月から新しい助成制度をスタートさせる。 3本目の音楽家助成の制度だ。
第1本目が、日本人のオペラ歌手や演奏家を本場イタリアへ送り込んで、修行を積んでもらう研修制度である。
これまで延べ48名を送り出していて、今年も5名がイタリアへ向かう予定だが、コロナ問題で出発を見合わせているところ。
第2本目が、イタリアで労働許可証を取得してプロとして活躍する一本立ちのための支援。 現在6名が頑張っている。
これら二つは、オペラ財団の年間予算の中から費用を捻出して、ずいぶんと成果を積み上げてきた。
新しい3本目の制度は、広く世の中から寄付を集めて、それでもって音楽家の活動を支援していこうとするもの。
今回のコロナ騒ぎで、予定されていた公演や舞台の中止が相次ぎ、音楽家たちは収入の道を断たれてしまった。
彼ら彼女らは、どうやって生きていくかで悲鳴を上げている。 このままズルズルいくと、クラシック音楽の文化が途絶えてしまう懸念さえ出てくる。
イギリスやフランスなどでは、芸術家支援の資金が国から支給される。 今回も、手厚い支援がなされたようだ。
もともと欧米では、文化や芸術に対する国の意識がすごく高く、どの国も日本とはけた違いの予算を組んでいる。
日本でも、ようやくコロナ対策の一環として検討に入ったようだが、恒常的な文化や芸術の支援ではない。
そういうことなら、さわかみオペラ財団が公益財団として、音楽家の活動を支援する制度を創って運営すべしである。
幸い、公益財団だから寄付をしていただいた皆さんは、40%強の税控除が得られる。
この優遇措置を最大限に活用して、できるだけ多くの方々から、できるだけ多くの寄付を募りたいと考える。
寄付が集まれば集まるほど、より多くの音楽家たちの活動を支援していくことができる。
なんとか、大きな社会運動にまでしてしまいたいものだ。 寄付が文化・芸術・スポーツなどを下支えすることで、成熟経済らしい経済拡大の一端を担えるのだから。
新制度は、助成希望者を広く公募して、一定以上の演奏や歌唱力をもっているか精査し、面接した上で助成対象者を決める。
寄付は3か月ごとに区切って、助成対象者に一人当たり30万円を源泉徴収して支給する。
願わくは、この制度が大きく拡大発展してくれて、多くの音楽家を支援したいものだ。 それが、良い音楽を楽しめる土壌をつくっていくことになる。