長期投資のリサーチ

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 一般的な企業リサーチと比べ、われわれ長期投資家のリサーチはずいぶん違う。 一番の違いは、いろいろ調査しあれこれ考える時間軸だろう。 普通は、今期来期の業績動向を追いかけて買いとか売りとかの投資判断を下そうとする。

 長期投資家はいつでも10年ぐらい先の企業の姿を、できるだけ具体的にイメージしようとする。 10年先の社会で、その企業はどんな立ち位置を誇っているだろうかの観点で、あらゆる角度から調べては徹底的に考える。 その上で、ビジネスはどんな発展をしているのかを想定しながら、10年先まで予想財務諸表を作成する。

 結構きつい作業だが、これがどれだけ面白いかはやっているうちに実感する。 まったくの知的作業を延々と続けるものの、無機質に将来分析をするのではない。 どんな社会を築いていきたいのか、どんな世の中に子供や孫たちを住まわせたいのか、人間としての思いや夢をたっぷりと乗せて調べを進めるのだ。 その過程で、この会社はなにが何でも応援したいと思える企業が浮かび上がってくると、リサーチにもどんどん気合が入ってもう止められない。

 逆に、いまは株式市場でちやほやされているが、将来的に熱い思いを抱けそうにない企業は、リサーチ対象から切り捨てていく。 業績も良く目先的には儲かりそうな企業でも、長期投資家として応援したくなければ、片っ端から捨ててしまうのだ。

 この選別こそ、長期投資家の真骨頂である。 目先の相場に乗ろうとかの甘ったれた気持ちは、きれいさっぱり削ぎ落とすからこそ、これはと思う企業を断固として応援する覚悟が固まるというもの。 

 皆が売り逃げに走る逆境時からずっと熱く応援してきた企業が、社会の評価を高め株価も大きく上昇するときの到来と共に、長期投資の醍醐味を実感する。 投下資金も、やったぜという充実感も、大きく膨れ上がる。

 読者の皆さんも一度この体験をされたらいい。 もう長期投資を止められなくなるのは請け合いですよ。

 

 本日水曜日夜8時から、インベスターズTVの生放送に出演します。ぜひどうぞ。http://www.investors-tv.jp/live/

 

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 本を出しました。今回は電子書籍版として、スッと読めるボリュームに抑えました。 さわかみ投信現社長の黒島の本も合せてご紹介します。

 
 澤上篤人「お金をまわして日本を元気にさせよう」
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