中国の覇権主義がどんどん露骨になってきている。 南シナ海の島嶼を勝手に軍事基地化したり、一帯一路政策でもって世界各地における中国の経済支配を強めている。
30年ちょっと前、中国が対外的に経済開放政策に踏み切った頃とは別人のような傲慢さが目立つ。
それもこれも、経済力が世界第2位の地位にまで高まり、いずれは米国を抜く勢いにあるからだ。
ここまでは、ひとつの流れである。 ここへ、歴史的なパワーポリティクスの概念を投射させると、どんな絵が見られようか?
トランプ氏が仕掛けた米中の貿易戦争は、対中で異常なまでの貿易赤字を是正しようというもの。
米国第一主義を掲げているトランプ政権の目玉戦略である。 どうも、それだけではないのでは、と最近とみに思う。
これは、トランプ氏を超えて米国の本音なのだろうが、ここらあたりで中国を潰しておこうとするパワーポリティクスが動き出したのではと思う。
かつて日本が完膚なきまでにやられてしまった、あのパワーポリティクスだ。
1980年代に入って、米国の対日政策は厳しさを増していった。 当初は、大幅な貿易赤字を振りかざして、日本車の叩き壊しといった反発ではじまった。
それを受けて、本田、トヨタ、日産自動車などが相次いで米国内での自動車工場建設に走った。
しかし、それは序の口で、米国はプラザ合意やら日米半導体協定やらで、次々と日本を追い詰めていった。
それに対し、日本は米国の強硬な姿勢に右往左往して、長期の国家戦略なきままにズルズルと目先の対応に終始した。
その結果、やみくもなリゾート開発法案などで国内にバブル投機を誘発させてしまった。
また、半導体産業を中心にハイテク技術は韓国や中国へ持っていかれるがままに放置した。
残ったのは、バブル崩壊によるデフレ経済と、完全に骨抜きにされエレクトロニクス産業に象徴される経済力の弱体化である。
一時は米国経済に肉薄するまでに巨大化した日本を、徹底的に潰しにかかった米国のパワーポリティクスの見事なる勝利である。
ひるがえって、いま中国は猛烈に抵抗している。 おそらくだが、日本の失敗から多くを学び、譲ってはならないものは絶対に譲らない政策をとるだろう。
現在の日本の酷さをみるに、中国は中途半端な妥協はしないと思う。
昨日、日本は米国にいわれるがままの属国のようだと、ちらりと書いた。 悔しいけど、中国にとっては恰好の反面教師だ。