日銀はなにがなんでも2%インフレをといってきたが、さっぱり効果は上がってこない。
デフレ脱却と景気回復を狙うアベノミクスでは、物価上昇こそがその成果として誇れるはず。
そこで、企業に賃上げを迫る。 給料が増えれば消費も増加し、物価は上がるだろうという読みだ。
そうはいわれても、企業もおいそれとは賃上げに走れない。 それなりの売り上げの伸びが見込めないと、コスト倒れとなってしまう。
売上げを伸ばすには、それだけ需要が伸びてくれないと困る。 ところが、そもそも日本の需要が伸び悩んだからこそ、日本経済は低迷しデフレ現象に陥ったはず。
このパラドックスをどう解消するか? 物価はなかなか上がらないし、かといって需要も伸びないし、、、、。
かなり前にも書いたが、発想を変えてしまえばいい。 日本人にとっての幸せは、生活水準が向上することである。
それには、国民全般の所得が増える一方で、物価は安定しててくれた方がいい。
通常の経済成長は、消費の伸びに物価上昇を掛け合わせた数値で示される。
であるならば、消費の伸びを目一杯高めつつも、物価は安定していても構わないはず。
つまり、デフレ脱却よりも国民の消費を高める方向で政策を総動員するのだ。
とはいえ、生活必需品はほとんど行き渡っており、モノへの需要はそうそう伸びない。
となれば、モノでない方向で個人消費を高めさせ、それでもって一層の生活水準の向上を実感できるように仕向けたらいい。
つまり、日本人の間で、文化・芸術・教育・スポーツ・技術・寄附・NPO・ボランティアといった分野で、どんどんお金をつかう文化を醸成させるのだ。
お金をつかったら、一時的には財布の中身は減る。 しかし、まわりまわって財布の中身も増えるという実感をもてるようになれば、お金をつかう文化は定着していく。
ここで、大きな問題が浮上してくる。 870兆円もの預貯金残高の60%強は、60歳以上の高齢者層がもっているという現実だ。
高齢者層の多くは年金生活をしており、預貯金はいざという時のためにといって手放したがらない。
お金をつかう文化といっても、おいそれとは乗ってくれない高齢者層が多いとなれば、さあどうするかだ。
ここから先は、われわれの長期投資の出番である。 預貯金を長期投資に向けることも、お金をつかう文化の一端を占める。
むしろ、柱といってもいい。 なにしろ、長期投資は企業を応援しようといって、資金を経済の現場に投入することなんだから。
それは、個人消費とほとんど同じ経済効果を生む。 それも、不景気の時ほど積極的に資金投入するのだ。 最高の軽軽対策となる。
その上で、長期投資で資産を殖やしつつ、殖えていく資産の一部をつかうというのなら、お金をつかう文化の敷居は一気に低くなるはず。
現に、われわれの長期投資仲間の間では、殖えていっているお金をカッコ好くつかうことを楽しんでくれている。
このあたりが、日本経済活性化のひとつの解ではなかろうか。
来週の月・火・水は出張が続くので、長期投資家日記はお休みとさせてもらいます。