お金、どう世の中につかうか

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マーケット、すこし戻してきたから、話題を変えよう。 世の投資家が儲け心で色めき立つときは、長期投資家の出番ではない。

お金をつかうということは、経済活動の出発点であり、みなの生活を豊かにするためには不可欠の行動である。

いろいろある。 毎日の生活で必要なものを買えば、お店の商売につながり、商品を提供している企業も売り上げが伸びる。

それが、お店の従業員や工場で働く人たちの給料となり、事業拡大の投資ともなっていく。

給料は将来の消費につながるし、お店を拡張したり工場の増設投資は経済活動の活発化に直結する。

このように、お金をつかうことで、まわりまわって多くの人々の生活が成り立つという効果を生み出してくれる。

先週、イタリアはフィレンツエに立ち寄ったが、世界中から観光客が年を通して押し寄せている。

元はといえば、メディチ家が町(都市国家)を治め、芸術に惜しみなくお金をつかったところからだ。

当時、世界最大の商人でありお金持ちであった、コシモ・ディ・メディチは質素な生活をしながらも、ミケランジェロ・ラファイエロ・ダヴィンチ・ボッチチエリなどに私財を投入し続けた。

それが、イタリアで花開いたルネッサンス運動となっていき、夥しいほどの芸術作品を後世に残した。

フィレンツエの町は大いに潤って、商工業者が競ってドーモなどの巨大建造物を寄進した。

かくして、芸術の都フィレンツエは600年たった今も世界中からの観光客を呼び込み、莫大なお金を町に落とさせている。

これぞ、見事なる長期投資である。 130万余のフィレンツエ市民は芸術と観光をベースに生活しているが、そもそもはメディチ家が芸術にお金をつかったからだ。

別の例もある。 ドイツはバイエルン州にノイスバンシュタイン城がある。 気が狂ったといわれた王様、ルードヴィッヒ2世が遺したものだ。

東京ディズニーランドのモデルとなったともいわれる美しい城と、そこに至るロマンティック街道を含め、ミュンヘン市は毎年兆円の単位の観光収入を得ているとのこと。

これも、もとはお金をつかったところからだ。 ルードヴィッヒ2世は、楽聖といわれたワ-グナーのパトロンとしても有名である。

身近な経済活動活発化にも、長期的な富の創出にも、お金をつかうことが、どれほど重要か。

みなさん、いちどゆっくり考えてみてください。