この20年ちょっとで、米国や EU の経済規模は2倍になっている。 一方、日本はじり貧と低成長に喘いだままである。
おかしいと思わないか。 あれだけ米国や EU の経済社会にいろいろな問題が噴き出ていると騒がれてきたのに、日本を大きく引き離した成長を遂げているのだ。
失業率をとっても、米国は7~8%から、ようやく5%台に下がってきたぐらい。 EU では11%前後だったのが、10%を切ったところ。
そこで、日本の失業率はとみるに、ずっと3%ちょっとできて、最近では3%を下回ってきている。
どう考えても、日本の方が景気はいいし、国民の生活は上である。 ところが、成長率では米欧に遠く及ばない。
この違い、どこから来るのだろう? 一般的には、企業のアニマルスピリッツと革新性において、米欧に大きく差をつけられていると、よくいわれる。
たしかに、米国のアマゾンとかテスラといった革新企業の台頭には、眼を見張らさせられる。
とはいえ、それらは米欧経済の、ほんの一部をなすだけのこと。 米国や EU の社会全体でみると、いろいろな問題をはらんでいる。
それでも、米欧の経済規模は2倍になっているのだ。 どこが、どう違うのだろう?
ひとつはっきりしているのは、米欧ではなんだかんだ言われながらも、経済の現場でお金がまわっている。
それに対し、日本ではお金を抱え込んで動こうとしない。 とりわけ家計の預貯金残高は、異常に膨れ上がって寝かせたまま。
そこを、どうやってほぐしていくかが、政策当局に問われているのだが、ほとんど話題に上らない。
いつも書いているように、預貯金の1%が寄付にまわるだけで、日本経済は1.7%の成長を遂げるのだが。