不安なときほど

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リビアの緊張が一段と高まり、原油や金価格が跳ね上がってきた。

一方で、政情や社会の混乱が中東全域に広がりかねない状況なのを嫌気して、

欧米や日本の株価は大きく下げている。

 

この先どこまで混乱が広がっていくのか、原油価格が高騰しそのまま高止まりするのか、

そしたら世界的なインフレ懸念も出てくるのでは、といった不安が次から次へと浮かび上がってくる。

もちろん、不安がったところで先行きどうなるのか、わかりっこない。

 

とにかく情報を広く集めて、可能な限り的確な判断を下そうというのが、

一般的というか常識的な対応だろう。

いかにも冷静で、もっともらしく聞こえるが、そこからは何の行動も生まれない。

お役所などはそんな程度のおしゃべりで、お茶を濁しておけるかもしれない。

 

投資家は違う。

中東の政情不安や原油高で、株価は大きく下げている。

どちらも現実である。

それらの現実に直面し、将来に向けてどういった行動をするのかが、いま問われているのだ。

先行きどうなるのか誰にもわからないからこそ、投資家の出番なのだ。

混乱状況が一段落して、世の中に冷静さが戻ってきた頃には、もう投資妙味はなくなっている。

 

不安不安といったところで、世界が終わってしまうわけでもない。

もっとも、世界が終末を迎え人類が滅亡してしまうのなら、不安も消えてなくなっているはず。

将来どうなるのか判らないときは、なにがあっても変わらないものだけを見ればよい。

なにも変わらなければ、そこには何の不安もないだろう。

 

変わらないもの、それは人々の生活だ。

中東の人々だって幸せに暮らしたいだけで、社会の混乱が嬉しいはずがない。

いつも書いていることだが、地球上69億人の毎日の生活は一時として止むことはない。

それを支える企業活動も途切れることは許されない。

 

ところが、株価だけはやたらと売られている。

であれば、どんなことがあっても消えてなくなっては困る企業の株を、

この安値で買っておくのにどれほどの不安があるだろうか。