この表題を見て、皆さん何のことかちょっと面食らうでしょうね。
世界の運用ビジネスで40年間仕事してきたが、
その間に金融バブルの膨れ上がりと崩壊、年金を中心とした機関投資家化現象の進展、
そしてインターネットによる情報の世界同時化ぶりをずっと見てきた。
それが世界の投資運用ビジネスにどのような影響を及ぼしてきたか。
一番大きな点は、世界の長期投資がずいぶんと下手になったということだろう。
これには、年金運用の本格化がある。
年金は大事なお金だからということで、
毎年きちんと運用状況や成績をチェックしなければ、
そしてより良い成績を出せる運用者に任せなければが金科玉条となっていった。
それが、世界的に年金ビジネスのマーケティング競争を激化させ、
年金コンサルタント会社を雨後の竹の子のように跋扈させた。
同時に、運用者たちを毎年の成績で追いまくった。
そうなれば、
年金運用本来の目的である10年20年30年後の運用蓄積最大化を目指す、
というテーマなどどこへやら、
運用者たちは毎年の成績にキュウキュウさせられるのが一般化した。
その流れが30年も続けば、
世界の運用者たちにとって長期投資なんて用無しになって当然。
その結果、いまのような長期投資に絶好の局面でもなかなか動けない。
機関投資家が毎年の成績に追いまくられるのと、
金融テクノロジーの進展はピッタリ来る。
毎年これこれの利回りになりますよといった証券化商品をどんどん開発してやれば、
年金中心に運用者たちは飛びついてくる。
世界中の銀行も、
毎年一定の利回りになる証券化商品は大歓迎ということで買い群がったのが、
金融バブルである。
インターネット普及による情報の即時化と同時化で、
世界中の投資家がマーケット情報に振り回される度合いがきつくなった。
こんな時こそ長期投資家がじっくり考えて、
どっしり行動するタイミングなのだが、世界中で長期投資が下手になっている。
それで、なかなか買いの手が広がらない。
だから、世界の株価が売られがちとなる。
そんな投資家たちを横目に、地球上人口は毎年1億人ずつふえており、
世界の需要は伸び続けている。
企業活動はますます活発化している。
長期的には、ここで株をたっぷり買っておけばどれだけ大きなリターンとなるか、
考えるだけでもワクワクしてくる。