日本の長期金利が、10年物の国債利回りでいうと、29年ぶりの2.665%をつけてきた。
米国の10年物国債も、じわじわと上がってきて、4.5%台をうかがいはじめている。
最近のイラン紛争でホルムズ海峡が封鎖されたり、中東諸国の石油関連施設が爆撃を受けたのを受けてのもの。
それは表面的な要因であって、その背後には日本はもちろんのこと、米国でも財政逼迫がある。
責任ある積極財政を打ち出している高市政権だが、その責任の内容が不透明である。
国債増発に頼らず財政資金を賄うといっても、そうそう財政運営の隠し玉があるとは思えない。
なのに、ガソリン価格を据え置くためにと石油元売り各社に財政投入を続けたりと、政府支出はどんどん膨れ上がっている。
米国もイラン爆撃で、ミサイルなどの国家在庫を半分以下にまでするほど大量に費消した。
それで、日本円にして260兆円とかの防衛予算を議会申請すると報道されている。
どちらも、そう日米両国政府とも長期金利の上昇を誘う要因を、それこそバラ撒いているのだ。
そもそも財政支出を賄うには、税金によるか国債発行が主体となる。
ところが、日米とも高齢化が進んでいて、社会保障費予算は毎年コンスタントに膨れ上がっていっている。
一方、毎年巨額の国債発行を続けているが、それによる利払い費など国債費も増加の一途となっている。
日本でいうと、今年度123兆円の当初予算に対し、社会保障費と国債費だけで52.6%を占めるほど重い存在となっているのだ。
もう既に不健全きわまりない国家財政なのに、さらなる積極財政となれば、金利は上昇圧力を高めて当然である。
それに対し、日米政府や金融当局はできるだけ利上げを阻止ようと躍起になっている。
現に、トランプ政権では利下げをしろとFRBパウエル議長に圧力をかけ続けてきた。
そんなところへ、経済の現場から長期金利がじわじわと上昇してきているわけだ。
これを市場金利の上昇というが、国などがコントロールする政策金利とは別ものである。
市場金利は経済の現場での需給の力関係を反映してのもので、こちらが暴れ出すと政策金利などまったく立ち向かえない。
たとえば、金利上昇トレンドを見て、低利回り国債からの乗り換え売りを債券保有者が出しはじめたら、もう止まらない。
債券売りが流通利回りの上昇を誘い、それがさらなる債券売りにつながる悪循環が、あっという間に広がっていく。
もうそうなったら、債券の流通利回りつまり市場金利は一方通行的に跳ね上がっていく。
リスク回避で保有債券を売るのは、債券投資家の自由である。 皆、政策金利など無視して売りに走ろう。
この状況を語るのは、まだちょっと早い。 しかし、いずれは現実化する悪夢である。
