質の悪い株高に浮かれるな!

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ずっと、カネ余りバブル高に警鐘を発してきたが、日本株市場はさらに問題含みといえる。

なにが問題かというと、日銀による株価の買い支え、つまり官製の株高でもって皆が有頂天になっているのだ。

もとはというと、2010年ごろから日銀は株式ETF購入をはじめた。 それも、恐る恐る少額での買い入れだった。

ところが、2013年からは黒田総裁による異次元の金融緩和の一環として、すさまじい購入ピッチとなった。

気がついたら、日銀は世界最大の公的年金であるGPIFを抜いて、日本最大の株主になってしまった。

この10年間、株価が大きく下げたところを見計らって、日銀は株式ETFをどんどん買っていった。

そのため、37兆円強の買いっぷりもすごいが、日本株市場の右肩上がり相場に最大の貢献をしてきた。

誰の眼にも日銀による株価の買い支えであり、まして通貨発行権を持っている日銀の株買いだ。

個人投資家も機関投資家も安心しきって株買いに走った。 下がれば、日銀がいくらでも買ってくれると信じて。

その流れで、日経平均株価の34年ぶりの史上最高値の更新に漕ぎつけたわけだ。

そして、いまや日銀は株式ETFの保有でもって、30兆円を軽く超す含み益を抱えるに至っている。

見事なる官製相場である。 そういった背景に乗っての、最近の株高狂騒曲なのだ。

投資家も市場関係者もマスコミも浮かれているが、こんなもの砂上の楼閣でしかない。

そもそも中央銀行が、その国の最大の株主になるなんて異常もいいところ。

そんな異常を無視して、日銀が永久に株式ETFを保有するなんて、まずあり得ない。

ということで、日銀がちょっとでも売りをにおわせたが最期、株価は奈落の底へと落ちていく。

ならば、株価全般が沸騰している時に、少しずつ売り上がっていくか?

それは、株価の恒常的な上値抑え要因となってしまい、日本株市場にさらなる買いが入ってくるのを阻害する。

また、30兆円を超す含み益とかいっても、そんなものは絵に描いた餅である。

株価全般が下がれば、含み益なんてたちまち消え去る。 かといって、この高値を売って実現益確保もできない。

さあ、日銀はどうするのだろう? まだこれからも株式ETFの買い増しで、株価下支え役を務めるというのだろうか?

こんな官製株高に浮かれている投資家たちはじめ、市場関係者もマスコミも、どう対応するのだろう?

われわれ本格派の長期投資家からすると、「いろいろ無理しているよな、お大事に」だ。