2008年9月に発生した、歴史に残るリーマンショックだが、そのずっと前からくすぶっていた。
その前というと、2007年8月の米国のサブプライムローン問題が挙げられる。
収入が低く、とても住宅ローンが組めそうにない人たちにまで住宅取得を進めてきたものの、それが行き詰った。
それで、ローン返済できない人たちが、次々とマイホームを追い出されることになった。
大量の担保物件が空き家となり、その大セールで米国の住宅産業が一気に不況に追い込まれた。
実は、その前から金融バブルの綻びが、米国や欧州のあちこちで散発していた。
そして、2007年の8月にフランスの大手銀行パリバが金融派生商品の新規取引を中止した。
それでも、金融バブルで燃え上がった火の勢いは強く、世界はパリバを無視して沸き上がったままだった。
その横で、金融派生商品などの回転が効かなくなっている類いのニュースが、ひんぱんに流れるようになっていった。
そして、最後の最後に米国の大手証券会社であったリーマンブラザーズが経営破綻に追い込まれた。
その前に、米国の保険大手のAIGを救済していたから、リーマンにも救済の手が差し伸べられると期待された。
しかし、米政府は救済しない方向に決断した。 それが、くすぶっていた火を一気に燃え広がせ、リーマンショックとなった。
よくいわれる、リーマンを救済していたらという考えもあるが、バブルはいずれ弾けるだけのこと。
いま世界を見わたすに、ゼロ金利と大量の資金供給でカネ膨れしてきた世界経済が、あちこちで軋みを生じている。
現に、世界的なインフレ圧力と金利上昇という経済合理性からの刃が突き刺さってきている。
いずれ時間の問題で、企業の経営破綻とかデフォルト(債務不履行)となって表面化してこよう。
その横で、中国での不動産不況も深刻化してきているし、中国株の下落も続いている。
世界各地での貧困がもたらす暴動や部族対立など地政学的な問題も、重苦しくのしかかってきている。
こういった、くすぶりが高まってくると、どこかで思いもよらないリスク発生も覚悟しよう。
別に悲観論を並べているわけではない。 マネーマネーでやって来た世界経済の運営が崩れだそうとしているだけのこと。
われわれ本格派の長期投資家からすると、経済の正常化に向けて振り子が振れ始めたと、むしろ歓迎である。