来年からスタートする新NISA制度に向けて、金融界は追い込みに躍起となっている。
一人1口座という制度なので、証券はじめ金融業者は1人でも多くの口座を獲得しようと、しのぎを削っている。
それでなくとも、国を挙げての「貯蓄から投資へ」や、首相の資産運用立国発言などに煽られがちだった。
これから投資をはじめようと考えている人達からすると、フワッと金融業者の営業に乗ってしまいかねない。
われわれ本格派の長期投資家からすると、「オイオイ、新NISAとやらに浮かれるなよ」だ。
第1に、タイミングが悪すぎる。 カネ余りバブル上昇相場が大崩れしかかっているというのに。
こんなところで投資をはじめるなんて、わざわざ超のつく素っ高値を買いに行くようなもの。
はじめて投資したはいいが、その後の下落相場で財産づくりの夢どころではなくなってしまう。
そう、新NISAで投資をはじめるなら、金融マーケット全般が大崩れしてからにしよう。
投資なんて、安いところで買っておいて、高くなるのを待って利益確定するものなんだから。
第2に、金融業者が勧める投資商品のほとんどが、15年前のリーマンショック以来の上昇相場に乗ってきただけのこと。
これまでの素晴らしい上昇ぶりを盾にして、新NISAにも打ってつけの投資商品だと営業される。
投資はじめての人たちからすると、そういった営業トークには、なるほどと納得がいく。
ところが、カネ余りバブル相場が吹っ飛ぶと、多くの投資対象商品でボロが露見する。
カネ余りをいいことに中身もなく買われてきた投資商品は暴落したまま奈落の底へ落ちていく。
その点、しっかりした投資対象であれば、暴落後しばらくすると立ち直ってくるものだ。
大きく買われてきた分、凄まじい売りに晒されるが、売りが一段落してくれば買いも入ってきて上昇に転じる。
このあたりの、玉石混淆の淘汰は暴落相場あってこそである。 まさに、疾風に勁草を知るだ。
第3に、NISAも新NISAも投資収益があって、はじめて税控除にありつける。
高値掴みしたり、石ころみたいなものを買ってしまったら、投資収益などおぼつかない。
ということは、新NISAの特典である税控除など、遠い夢の話となってしまう。