地政学的リスク、あちこちで

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ハマスによるイスラエル攻撃で、ガザ地区は戦闘状態に陥っている。

死者は2000人を超え、25万人が居住区を追われ難民と化しているとか。

しばらく前には、アフリカのニジェールで軍部によるクーデターが発生した。

長く駐留していたフランス軍は撤収に追いやられ、現地の治安は不安定化している。

ロシアによるウクライナ侵攻は1年8か月に及んでいるが、激しい戦闘はずっと続いている。

それ以外にも、タイの政局混迷やスロバキアでウクライナ支援反対勢力の政権奪取とかが報道されている。

世界各地で社会は不安定の度合いを増していて、生活を脅かされた人々の難民化が顕著となっている。

これら地政学的リスクの顕在化で、原油価格は高騰し食糧の安定供給にも影を落としている。

さらに厄介なのは、中国の不動産問題が深刻化していて、関連企業の経営不安が増している。

どこか大手が債務不履行などに追いやられると、一気に連鎖倒産に拡がることにもなりかねない。

そうなると、中国経済の成長率は5%の死守ラインを切り、社会不安を増長しかねない。

中国経済の成長率が落ちてくると、世界経済に対しても大きなマイナス要因となる。

それでなくても、世界的なインフレ圧力の高まりと金利上昇が、世界経済に重くのしかかってきている。

これらのどれもが、さらなる地政学的リスクを喚起することにもなりかねない。

そう考えると、史上空前のカネ余り上昇相場に踊ってきた世界の金融マーケットも要警戒のはず。

なのに、米国の株式や債券市場はさして警戒感を高めていない。

日本株市場に至っては、世界の地政学的リスクなどを無視して大きく買われている。

それだけ買いの勢いが強いのだろう。 だが、投資家の買い人気などは当てにならない。

ちょっとした悪材料で、即座に総売りに一転することは、いくらでもあり得る。

ここまで買いの勢いで買ってきたこともあって、売り逃げに転じたら大騒ぎとなろう。

いつもマーケットとは、つかず離れずの立場を守る。 そして、安ければ買い、高くなったら利益確定する。

そういった、われわれ本格派の長期投資家からすると、こんな状況下ではマーケットから遠く離れるのみである。

そして、世の投資家たちが右往左往の大混乱に陥った頃合いを見て、マーケットに入っていこう。