日本の財政肥大化が止まらない。 物価高に対し、岸田内閣は生活者応援ということで対策予算を連発している。
世界的なインフレ圧力と円安で、日本の物価もいよいよ上がってきて、3%台に乗せた。
それに対し、政府はガソリン価格の上昇を抑えるべく石油元受け会社に補助金を注入するなど、実に気前よく予算を投入している。
気前よく? そう、日本の財政は先進国で最悪を独走しているというのに、まったくお構いなしでバラマキを加速させているのだ。
日本はもう20年以上にわたって、毎年の予算編成で40%前後は国債発行で賄うという、ひどい財政運営を続けている。
その結果が、1200兆円にも上る国の借金残高で、日本のGDP比で262%という、とんでもない数字となっている。
それもこれも、日銀が全面的な協力をしているからのこと。 とりわけ、この10年ほどの協力ぶりは、すさまじいの一言。
ゼロ金利にしてしまえば、国債をいくら増発しても金利負担は考えなくていい。
その上で、国債発行をいったんは金融機関に引き受けさせ、それを日銀が購入することで、国債は無制限に増発できる。
そこまでいってしまうと、もう財政の規律も何もあったものではない。 とんでもなく野放図な財政肥大化である。
日銀も財務規模を、日本のGDPのなんと1.3倍にまで膨らませてしまった。 中央銀行として異常もいいところ。
ところが、ここへきての世界的なインフレと金利上昇が、政府や日銀にNOを突き付けてきた。
それにつれて、いずれ日本の金利も上昇は免れない。 そうなると、国には1%の金利上昇で3.7兆円の利払い費が発生する。
ずっと赤字財政を続けてきたというのに、そこへ金利上昇による利払い費の増加が上乗せされるのだ。
当然、国債発行で賄ってきた日本の財政運営そのものに、急ブレーキがかかる。
日銀も金利上昇で保有国債の価格下落、つまり評価損の拡大で財務は急悪化する。
それだけではない。 金融機関から買い入れていた国債の代金は、日銀に当座預金として預けさせてきた。
その当座預金500兆円強に利払い費が発生するのだ。 1%の金利上昇でも5兆円強と、日銀の純資産4.7兆円を大きく凌駕する。
これらを勘案するに、国の政策も日銀も、どうやら袋小路に追いやられてきたようだ。
どう打破するのか? 今年度の税収見込みは68兆円と過去最大とのこと。
それでも、108兆円の当初予算に対しては、64%でしかない。 そこへ、先般30兆円を超す補正予算を成立させた。
税収でカバーできなければ、国債発行に頼るしかない。 ところが、金利上昇の局面に入ってきた。
どうみても、袋小路である。