日銀の資金循環統計の速報によると、この9月末で個人金融資産は1901兆円に上った。
そのうち、現金が97兆円、預貯金額が全体の49.3%にあたる936兆円となっている。
一方、上場株式への投資が105兆円で5.5%、投信購入が71兆円の3.8%だった。
株式や投信購入、いわゆる投資勘定に対し、預貯金に眠っている個人マネーは5.3倍にも上る。
日本経済の1.7倍にもなる巨額の個人マネーが、年0.001%前後しか富を生まない預貯金に眠っているのだ。
富を生まない? そう、936兆円もの預貯金から、年間で93億円ほどしか利子収入を生まないのだ。
そんな、つまらないところに自分のお金を眠らせたままでいるなんてと、誰も思わない。
それよりも、預貯金に置いておいた方が安全で安心だとする日本人が圧倒的多数である。
世界からみると、まったく理解できない現象である。 リスクが大きいからと、投資を忌避するあまり、年0.001%の利子収入に甘んじているなんて。
もっとも、現在進行中の世界的なカネあまりバブルに踊るのは、リスク満載であり手を出さない方が賢明である。
しかし、このまま預貯金に置いておくのは、別のリスクを抱えていることに気づく必要がある。
いずれ、現行の超カネあまりバブルは崩壊する。 金融バブル崩壊で預貯金に置いておいた資産が、果たして安全だったかどうかがはっきりする。
どういうことか? 銀行などは預金で預かった資金のかなりの部分を、運用利回りを稼ごうと金融マーケットに投入している。
それが、金融バブル崩壊で巨額の投資損失と評価損に一転する。 バブルに踊ってきた企業や銀行の経営が急悪化するのは、避けようがない。
そうなっても、預貯金は安全と信じている人がいたら、よほどノー天気なお方である。
それだけでは終わらない。 世界的な信用収縮で金利は急上昇するし、お金の価値が下がってインフレの火が燃え上がる。
となると、後生大事に預貯金を抱えていた個人や家計は資産価値の目減りにも直面させられる。
安全で安心と思い込んできた預貯金が、銀行経営に不安が高まるは、インフレで資産価値が急激に目減りするはで、ダブルパンチを食らうことになる。
そこで、ようやく財産リスクを認識しても遅い。 いまのうちから、財産を本格的な長期投資にシフトさせておくことだ。
せっかく、さわかみファンドという格好の長期投資船があるのだから、乗船しない理由はないと思うが。