もともと低金利政策は、景気の悪化を食い止めて回復に向かわせる。 そのためには、企業に積極的な拡大投資をしてもらおう。
企業に投資を積極化させるための支援として、金利コストを下げ、かつ資金調達を容易にしてやる。
具体的には、個人や家計の利子所得を削って、それを企業にまわしてやるのだ。 それでもって、景気回復を急ぐべしという政策だ。
つまり、家計から企業など法人部門へ半強制的な所得移転を強いる、それが低金利政策の意味である。
それが奏功し、企業の積極的な拡大投資が景気を上向かせると、徐々に金利は上昇に転じる。
金利が上昇していくということは、法人部門から家計へ所得が戻っていくというわけだ。
これが、景気サイクルと金利の上下変動の自然なる関係である。 唯一の強制は、低金利政策である。
ということは、低金利政策で預貯金の利子所得が減ったと嘆くのではなく、積極的に株式投資すべしというサインでもある。
なぜなら、半強制的に家計の所得を企業など法人部門へ移しているということは、企業の将来利益増加に貢献しているからだ。
企業の将来利益が増加するのなら、株式投資を積極化させるべし。 それが、合理的な経済活動である。
そう、低金利政策下では、預貯金から株式投資へ資金シフトさせるのが、合理的な資産形成となっていくわけだ。
日本は1992年から低金利政策に入り、95年からはゼロ金利政策だ。 その間、預貯金の利子所得はほとんどない。
それだけ、法人部門へ巨額の所得移転がずっと続いているわけだ。 預貯金にしがみついていた人たちの資産形成は、まったく進んでいない。
一方、まともな株式投資を続けてきた人たちは、株価上昇の恩恵をたっぷり味わっている。
以上は、さわかみファンドの運用で最上位概念としている、アセットアロケーションの切り換えで、低金利下における最も合理的な経済行動である。
それが、株式投資に集中することだ。 その結果が、年6%近い成績となっているというわけ。