日本の財政の綱渡りは先進国でも最悪を独走しており、そういつまでも続かない。 とんでもないツケがまわってくるのだろう。
そういっても、いまいちピンと来ないかもしれない。 なにしろ、国という大きな運営体で101兆円という予算を組んでいるのだ。
それに対し、税収は62兆円を見込んでいるから、39兆円の財政赤字ということになる。
どの数字も大きすぎて、ピンとこない? だからといって、このまま知らん顔もしてはいられない。
最終的なツケは国民にまわってくるのだ。 ツケの支払いを後の世代に押し付けるのは、あまりに無責任である。
ところが、現実は何の抜本的な解決策も打たず、国の借金は増え続けるがままにしている。
国の借金はもう既に1100兆円を超えた。 国民一人当たりにすると、870万円だ。
すごい借金額だが、それを誰も真剣に考えようともしない。 とりわけ高齢者層は後の世代に押し付けたまま人生を終えていく。
やっかいなのは、彼らは知らん顔して押し付ける以前の問題で、ことの酷さを認識していないことだ。
国がなんとかしてくれるだろうで、全部おまかせにしている。 それでいて、無責任という意識すらない。
この思考停止というか、甘えなのか逃げなのかは、どうでもいい。 いつか、日本全体が収拾のつかない状況に叩き落されるだけのこと。
戦後の社会を思い起こすといいかもしれない。 戦争の責任を問うなど言っている前に、戦災の悲惨さと瓦礫の山が国民に押し付けられた。
では、家計に戻ってみようか。 個人の預貯金額は891兆円、一人当たりにすると700万円だ。
限りなくゼロに近い現在の金利水準だと、2倍の1400万円にするのに1万年近くかかる。
そんな状態に放置しておいて、老後の備えとなると思えるのか? どう考えても、足りっこない。
預貯金は安全といっては思考停止しているが、殖えっこない財産を後生大事に抱えていては、とんでもない将来の生活リスクに晒されるだけのこと。
よしんば年3%の利子がついたとしても、大して生活の支えにならない。 10年で940万円、20年で1264万円、30年で1699万円にしか殖えないのだから。
これでは、とてもではないが老後生活が安心とは言えまい。 人生100年とか長生きリスクというのなら、それに向かっての対策を講じなければなるまい。
これって、個人一人ひとりの問題である。 国の借金とかの大きな話ではなく、自分の切実な問題なのだ。
われわれはずっと本格的な長期投資を提唱し、さわかみファンドでもって人生100年を堂々と生きていこうといっている。
一人でも多くの人々に、参加してもらいたいものだ。