昨日は、ある中堅化学会社の工場を訪問をしてきた。 3度目の訪問となるが、今回もいろいろ学ばせてもらった。
面白いのは、10年前と比べ変わった部分と、まったく変わらない部分とが、見事な対照だったこと。
変わったのは、いくつかの往年の主力プラントが縮小し、新しいのが取って代わっていた点だ。
時代の変遷とともに、売れ筋の商品がすこしずつ変わっていくのは自然の流れ。
くだんの化学会社も広大な敷地の中で、数あるプラント群の勢力図といったものが、ずいぶんと変わっていた。
一方、基礎研究を積み重ね、世界中どこも工業化に成功していない製品を世に出そうとする姿勢は、まったく変わっていない。
20年とか30年の開発期間を経て、モノにしてきた製品群は世界でも高い競争力を発揮している。
そういった機能素材は、家電や自動車のように千億円とか兆円といった単位の巨大な売上げ高にはつながらない。
それが故に、その会社もずっと中堅規模のビジネスに甘んじているが、存在感は抜群である。
われわれ長期投資家からすると、そういった企業ほど長い時間軸で応援したくなる。
たしかに、売り上げが爆発的に伸びるってことは期待できないかもしれない。 利益の伸びも、どちらかといえば地味である。
したがって、株式市場ではあまり目立たないし、投資家の評価もいまいちである。
しかし、その企業なかりせば世に存在しなかった製品群は、世界の人々に多くの恩恵をもたらしている。
だったら、われわれ長期投資家が応援すればいい。 長い開発期間に耐えて頑張っている企業を応援するのは、長期投資家にしかできない話。
粋がっているんではない。 それで十分に長期投資になるのだから、とことん応援する。
なにしろ、じっくり時間をかけて世界の誰もが製品化していない商品を開発し続けている企業だ。
20年30年かけて、そういった腰の据わった研究開発が出来ているということは、その企業の地力である。
よしんば売り上げの伸びが小さくとも、そこそこの利益を上げているからこそ、息の長い開発投資ができるわけだ。
それに対し、株価全般は様々な理由で、上がったり下がったりを繰り返すもの。
であるならば、われわれ長期投資家は株価が下がったら買い、上がったら売りをノンビリ繰り返せばいいだけのこと。
その時、20年30年のスパンで新製品を研究開発している企業ほど、安心して応援できるはず。
これが、長期投資家の企業応援投資である。