世界の運用現場に足を踏み入れてみると、おそらくほとんどの人が「とても、ついていけない」という感想を持つだろう。
1秒間に千回を超える売買をこなすなんて、コンピュータに頼らざるを得ない。 そんなのは序の口にすぎない。
コンピュータを駆使して、ありとあらゆる売買手法を編み出したり、アルゴリズムなどで組み上げた投資商品が次から次へと市場に投入されている。
高度な数学や統計処理を施して、いかに市場で瞬時かつ売り買いどちらの方向でも売買利ザヤを抜いていけるようプログラミングされているなんて説明を受けても、さっぱりついていけない。
最近ではビッグデータを背景としたAI運用が急速に幅を利かすようになってきており、もう人間では到底ついていけないとか。
各方面からの情報によると、そういったプログラミング化された売買やAI運用が、米国株市場では85%に達しているようだ。
日本株市場の機関投資家運用でも、80%前後がインデックス先物の売買である。 個別株の値動きは、インデックスに引きずられてついてくるだけといった有様である。
こう書いてくると、一般の投資家はどう対応するか悩ましく思われるかもしれない。
われわれ長期投資家は、そういったものは完全に無視だ。 敵を知らずんばで、彼らの運用(?)を学ぶ必要もない。
彼らはただ単に数字を追いかけているにすぎない。 いかに値ざやを抜くかも、超高速売買とやらも、株価という数字を操っているだけのこと。
数字を操る作業をコンピュータにやらせようと、どうプログラミングしようと、しょせん数字の追っかけである。
その結果の運用成績とやらを年金など機関投資家は競うが、数字が膨れ上がったのを喜んでいるにすぎない。
運用というならば、投資勘定を手仕舞って現金を手にすることで、はじめて利益確保となる。
上に書いた高速売買もプログラミング投資も、はたまたAI運用も、マーケットで数字を追いかけては運用成績とやらを積み上げているだけのこと。
どの参加者も皆、マーケットに居残って運用成績の追いかけっこをずっと続けるという、暗黙の大前提の上に立っている。
そういった運用(?)ゲームを継続的に繰り返している間の成績など、絵に描いた餅である。
早い話、彼らの一部でも現金を手にしようと動き出した瞬間、そこまでの運用(?)ゲームは一気に崩れてしまうのは明白。
現金化しようという手仕舞い売りが出れば、どのプログラムも売りで儲けるか急ぎ売りを指示する。 つまり奈落の底だ。
そこで、数字を追いかけているだけの運用(?)ゲームの限界が露呈することになる。
当事者たちは対応に追われて右往左往する間に、用無しのお役御免となるのは構わない。
ただ彼らが数字追いかけ運用で玩具にしてきた年金など機関投資家資産は、あぶくが飛んだように激減しよう。
世界中がそういった方向に突っ走っているが、受益者である一般国民にとってはえらい迷惑である。
われわれは投資運用本来の姿を追いかけ、いつでも売れる状態で富の増殖に努めよう。
すなわち、将来に向けて利益を積み上げている(投資価値を高めている)企業を応援する姿勢に徹することだ。
マーケットの動向など、どうでもいい。 大きく下げたら、応援企業の株を買い増しするだけのこと。