最近の運用業界は世界的にみても、マーケティングのビジネスに様変わりしてしまっている。
年金をはじめとして投資家顧客から如何に多くの資金を集めるかが、運用ビジネスにおいて最大のテーマとなって久しい。
久しいと書いたのは、1970年代まで運用ビジネスにおけるマーケティングなど、二の次、三の次のテーマだった。
やるべきは、リサーチと運用能力を高めること、それに100%のエネルギーを注入する。
運用の能力を高め、成績さえ積み上がってくれば、運用資金など投資家顧客の方から舞い込んでくるはず。 そう考えるのが、常識だった。
また、下手にマーケティングで運用資金を集めようとすると、自分のところで得意としない運用も引き受けかねない。
それは運用成績の悪化につながり、結果として運用資金の流出を招き、運用会社としての評価を下げるだけのこと。 そう考えられたものだ。
ところが、80年代からこのかた、運用ビジネスは大々的に資金集めのマーケティングするもの、ということに変容してしまった。
マーケティングの勝負ともなると、規模の大きさが決定的となる。 大々的に宣伝を打てるし、営業力を駆使できる。
気がついたら、大手の金融機関が次々と中小を吸収して、どんどん巨大な運用会社となっていった。
大手金融機関の信用力を背景に、いかに時流を的確にとらえ、かつ安定度高く成績を積み上げるかといったマーケティングトークを、これでもかこれでもかと発信する。
これには、年金はじめほとんどの投資家は簡単になびいてしまう。 なにしろ、彼らが提示するここ1年2年の見通しと投資方針には説得力がある。
かくして、短期の成績を追いかける運用に猫も杓子も群がる流れが定着し、それがプロの運用というものになっていった。
いつも書いているように、それは短期のディーリング益の積み上げ、すなわち資金運用というものであって、投資運用ではない。
そういった流れも、金融や金利の正常化が進むと話は違ってくる。 これから少しずつ書いていくが、次の10年以内に資金運用はズタズタになっていこう。
そこで大きく脚光を浴びるのは、われわれの長期投資である。 というか、まともな投資運用が40年ぶりに見直されるのだ。