農林水産大臣が政界やマスコミの間で大きな話題となっている。
地元選挙区で利益誘導型の発言で票を集めたとか、支持層が少ない地域での交付予算をカットさせたとか。
自民党の有力政治家あるいは大臣という立場をつかって、国交省などに圧力をかけたとか。
どこまでが事実で、どこまでが増幅された部分なのかは置いておいて、なんとも次元の低い話である。
今回たまたま表面化してきただけで、利益誘導型の政治は日本中ではびこっている。
予算配分だけの問題ではない。 この国では、業界や所属団体に良かれとする政治を、もう嫌というほど味わってきた。
それらの最大級のひとつが、バブル崩壊後に住専問題で一件落着を図ったことだ。
1980年代後半の土地や株式投機バブル時、住専はじめ農林系や漁協系はじめ金融機関の多くが放漫融資に走った。
国は放漫融資の後始末に多額の税金投入を迫られた。 当然のことながら、当事者たちの責任が追及されることに。
そこで、政治が動いた。 バブル当事者たちの責任追及を住専だけで止めないと大変なことになる。
日本中が大混乱に陥って、金融はじめ経済活動がマヒしかねない。 そういった判断で、住専以降の責任追及は止めにした。
代わって、国を挙げてバブル処理を進めようということで、92年9月に超大型の総合経済対策予算が組まれた。
その陰で、農林系はじめ金融機関全般にバブルの不始末はうやむやにされていった。
関与していた経営トップ層や、大なり小なり絡んでいた政治家たちの責任は一切お咎めなしとなった。
本来なら、事業主体それぞれがバブルの後始末をつけるべきで、経営責任や所轄官庁の責任を問うべきであった。
その過程で、農林系はじめ金融機関全般と、その裏での政治の関与に大ナタが振られたはず。
ところが、日本ではすべてをうやむやにして、国を挙げてのバブル処理という方向に舵を切った。
その結果として、総額で700兆円ほどの予算投入が強いられて、国の借金は一気に膨らんだ。
また、バブル処理つまり金融機関の救済ということで、超低金利やゼロ金利政策で家計の利子所得を奪い続けたわけだ。
どれもこれも、失われた30年といわれたデフレ現象と長期の経済低迷につながっていった。
その横で、バブルに踊り狂った当事者たちや、その裏の所管官庁や政治家たちはぬくぬくと生き残ったわけだ。
あの当時、つまり90年代の初めに、まともな政治家が多くいてたら、当事者責任でバブル処理は進められたはず。
当然、ずっと日本の癌となっている、政官業界にはびる利益誘導体質は一掃されただろう。
また、経済を動かす方向での政治ならば、超低金利政策で家計の利子所得を奪い、個人消費を低迷させるなどありえない。
あんなデフレもなかっただろうし、1000兆円を超す国の借金も、30年の経済低迷もなかっただろう。
