ほとんどの投資運用対象は、その時々の金利動向と密接な関係にある。
投資家からすると、出来るだけ少ないリスクで、できるだけ大きく儲けようとする。
そして儲けの多寡は、得られる金融収入の大きさとして示される。
金利水準が低い時は、なんらかの投資商品でもって、より大きな金融収入を確保したいと考える。
それで、ある程度リスクをとってでも、金融収入を高められる投資商品を選択する。
一方、市中の金利が上がってくるにつれ、すこしずつ投資リスクに晒す必要度が下がっていく。
わざわざ投資リスクに晒すよりも、現金運用で金利収入を稼げば良しとなる。
この金利変動に沿って、手持ち資金を現金と投資商品の間で往ったり来たりさせる。
それでもって、できるだけ多くの金融収入を確保しようとするのが運用である。
逆の面からみると、世の中の金利が低い間は、様々な投資商品が跋扈する。
投資家も、出来るだけ金融収入を高められるよう、いろいろな投資商品に食いついていく。
その極めつきのような展開が、この15年間のゼロ金利時代に大手を振るって繰り広げられてきた。
ゼロ金利に対応し、少しでも多くの利回りが稼げるような投資商品が、百花繚乱のように咲き乱れた。
とりわけ、世界の機関投資家は毎年の運用成績を確保することに追いまくられている。
それで、百花繚乱のように咲き乱れた投資商品を、片っ端から買い込んできた。
ところが、昨年からは40年ぶりのインフレ台頭による金利上昇に、投資家は直面してきている。
現に米国の短期金利は、5.25%~5.5%の水準にまで上がってきた。
ここまで金利水準が上昇してくると、多くの投資商品に対するリスク意識が高まって当然である。
たとえば、信用度の低い企業などが発行するジャンク債などは、2重にリスクが高まる。
ひとつは、金利コスト上昇が発行体企業の経営を圧迫し、デフォルト(債務不履行)リスクが高まることだ。
もうひとつは、投資家の間で信用度の低い企業などが発行したジャンク債を保有しているリスク感の高まりだ。
ここまで金利が上昇してくれば、よりまともな投資商品に乗り換えた方が安全となってくる。
どちらが先かは別として、ある日突然にジャンク債の売りが集中するのは、もう時間の問題である。
それが、債券など金利商品全般への売り連鎖につながっていくのも、自然な流れである。
凄まじい売りの集中が、債券などの流通利回りを押し上げる。 つまり、市場金利の急上昇である。
これらの現象が、一度はじまるや、もう誰も止められない。
40~50年ぶりのインフレ台頭に次いで、金利上昇も覚悟しておこう。