岸田首相が運用立国にしようということのようだが、どこまで本気なんだろう?
ちなみに、日本を金融立国にという掛け声は30年以上も前から続いている。
しかし、いまだ道半ばにも達していない。 英語の問題だとか、出来ない理由をいろいろ並べている。
でも、最大のネックは日本の金融業界にある。 金融業界の体質も上層部も、旧態依然としたままである。
さすがに一部の金融マン達が、独立したりして動き出してはいる。 だが、組織としてはまだまだだ。
そこで運用立国だが、どうも金融業界に新しい商売のタネを供給するだけのきらいがある。
現に、来年からはじまる新NISAの制度も、一人一口座ということで、金融業界を陣取り合戦に走らせている。
個人個人にじっくりと資産形成に取り組んでいってもらおうなんて意識は、業界のどこにもない。
それどころか、この金融バブルの最終局面で、投資だ投資だといって個人を煽っているわけだ。
いずれ来る金融マーケットの大崩れで、またぞろ「投資で失敗した、投資は恐い」の悪印象をバラ撒くことになる。
首相でも政府でも、本当に運用立国を実現しようというのなら、われわれ運用会社にアイデアを求めるといい。
自分たちの商売しか考えない金融業界に諮問したら、目先の儲けに向けた政策案しか出てこないだろう。
しかし、われわれだったら、たとえば投信のプラットフォーム会社の設立を提案する。
投信の顧客口座管理を一元化したサービスを提供する独立行政法人か半官半民の組織を創るのだ。
そういったプラットフォーム会社ができれば、志のある人たちが自分の投信会社を次々と立ち上げてくるだろう。
投信はじめ資産運用ビジネスを手掛けるにあたって、顧客口座管理は一番のネックである。
人もそろえなければならないし、法令を遵守した業務遂行に、やたらとお金がかかる。
そのあたりをプラットフォーム会社が引き受けてくれれば、やる気のある人たちが自分の投信を立ち上げられる。
それこそ、5000万円も準備すれば、誰でも投信ビジネスをはじめられるのだ。
あとは運用能力だけでもって勝負すればいい。 運用実績でもっていくらでも大きくなっていける。
すごい競争となるだろうが、それでもって資産運用の人材を養成していくのだ。
金融業界の中でも、いまのビジネスに辟易している人たちは、ずいぶんと多い。
そういった人たちに、運用立国への道を突っ走らせてやればいい。
それには、投信のプラットフォーム会社に大きな役割を果たしてもらうことだ。