マーケットの機能をないがしろにしていることの報い

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いま、さわかみ投信の投資責任者である草刈と書き進めている共著の第3章で、マーケット機能についてたっぷりと書いておいた。

何をかって? この10数年、国や中央銀行が力でもってマーケット機能を踏みにじる傾向が、どんどん強まってきている。

それに対する警告だ。 いつか必ず、世界全体がマーケットのしっぺ返しを食らう、それに要注意ということだ。

マーケットのしっぺ返しとは、経済合理性への回帰を促す作用が、ある日突然マーケットで半ば暴力的に働くことを意味する。

経済合理性への回帰? 価格にしても金利にしても、一方向へ行き過ぎたことへの反動エネルギーの爆発である。

具体的に書こう。 いま各国はタガの外れたような財政出動をしている。 コロナ禍を乗り切るため、やむを得ない政策である。

財政支出を拡大するのはいいが、その資金をどう調達するのか? 世界経済は苦境にあって、税収は大きく落ち込むのは避けられない。

となると、財政出動の資金の大半は国債発行で賄うことになる。 こんなゼロ金利下では、新発国債への購入意欲など期待できない。

だからといって、EUや日本ではゼロ金利をさらにマイナス金利へともっていっているが、それにも限度がある。

そこで、日銀など中央銀行が直接あるいは間接的に国債を購入する財政ファイナンスへと、ますます傾斜していくことになる。

それは、インフレへの道である。 財政ファイナンスはインフレを引き起こすから法律で禁じているが、その禁を破っているのだ。

こう書いてくると、わかるだろう。 国や中央銀行による大量の資金バラ撒きとゼロ金利政策は、袋小路へまっしぐらなのだ。

つまり、いずれどこかで強烈なインフレと金利上昇という反動が世界経済を襲うしかない。 それが、マーケットのしっぺ返しである。

これだけ大量に資金をバラ撒いてきているから、お金の価値は下がり続けている。 まだ見えないが、インフレは始まっているのだ。

それが物価上昇などに転移してきたら、いよいよ狂乱物価となっていく。 当然のことながら、金利は急上昇する。

となると、放漫財政のツケがまわってくるどころの財政混乱では済まない。 中央銀行も信用ガタガタとなる。

どう考えても、その方向へ世界経済はひた走っているというしかないのでは。