セミナーで、しばしばこんな質問が出される。 日本もアメリカのように貧富の格差が拡大してきている。 このままだと、所得の低い人々がどんどん増えていくことになり、日本社会が不安定化するのでは、といった質問である。
たしかに、そういった懸念の芽はあちこちで見い出すことができる。 たとえば教育だ。 これからは高度な専門知識をもった人間とそうではない人々との間では、所得格差が広がる。 ところが、高等教育を受けるにはかなり資金の余裕がなければかなわず、ある程度以上の収入がある家庭の子弟に限られてくる。 となると、今すでに貧しい人々にとっては高所得への道が、ほとんど閉ざされてしまう。 そういった問題が切実になりつつある。
ここで興味深いのは、所得格差の大きいはずのアメリカで、意外と教育を受ける機会が広がっていることだ。 先ず、多くの家庭の子弟は高校卒業後は自分の力で自分の人生を切り開いていこうとする。 米国では、いろいろな奨学金制度があるので、学生の意志と意欲次第でストレートに大学進学もありだ。
あるいは、いったん社会に入って5年から10年かけて資金を貯めて、それから大学へ挑戦といった人生スタイルもある。 そういった若人が結構多いから、アメリカの大学では授業を受ける学生の年齢構成が幅ひろく、また真剣みも違う。
これは米国社会の一断面だが、格差拡大の中にも自助の精神と健全な上昇志向が育まれ、反骨のスピリットが醸成されていく面も忘れてはならない。 多民族国家アメリカはそう柔ではないということだ。
ひるがえって日本ではやたら平等意識が強く、競争をさせない教育やらが問題視されている。 そういった社会で格差が拡大すると、自分の力で這い上がってやろうとする自助意識が問われるよりも、日本全体が沈んでいく過程で発生する不可避的な現象のようにとらえられてしまう。 冗談じゃないよ、そんことはいはいと受け容れられるかよ、といった反骨精神が日本中あちこちで爆発してこないと、日本の将来はない。
それと、格差とかいう前に、できるだけ多くの人々が豊かになっていく道を模索することだ。 誰かがよくなれば、その余裕を周りの人たちに振り向けてあげられる。 それでもって、格差とやらをブッ飛ばしてやろう。 そこで大きな働きをしてくれるのが長期投資である。
今週水曜日20時からはインベスターズTVの生放送です。ぜひご覧ください。
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