2008年のリーマンショック後、先進国中心に空前の金融緩和をこれでもかこれでもかと深掘りしてきた。
それが、金融マーケットを大膨張させ、金融膨れした張りぼて経済を築いてきた。
そのプラス面は、大量の資金供給によって事業リスクが高いような分野にも投資マネーがふんだんに流れ込むようになったこと。
通常ならば、銀行融資など返済重視の資金が企業金融の主体である。
すると、融資の期限も限られるし、返済不能は銀行などの不良債権と化すから融資は慎重になる。
その点、投資マネーだとある程度のリスクは覚悟の上で資金を投入できる。
そして、金融がらみのリスクヘッジ商品が、次から次へと開発されてくるから、投資マネーはどんどん巨大化していく。
いま世界の金融マーケットを眺めるに、銀行の融資額よりもずっと巨大化した投資マネーが跋扈している。
それが、生成AIやら半導体やら巨額投資が必要とされる分野での技術革新をどんどん加速させている。
驚くまでの技術進歩を株式市場では大歓迎し、一部の企業の株価を天文学的な水準にまで押し上げている。
次に、そのマイナス面だが、複雑多岐に絡み合った金融商品が世界の金融マーケットを支えている。
その一角にでも穴が開くや、ズルズルとあちこちに連鎖していき、金融マーケット全体が棒下げとなる。
そして、多くの投資家や金融機関は売るに売れない投資勘定の山を抱え込んで、身動きが取れなくなる。
はっきりしているのは、金融マーケットが棒下げした分だけ、世界の金融は収縮することだ。
マネーの収縮は信用機能の収縮を招き、それが世界の債券や株式市場を暴落させる。
同時に、市場金利は跳ね上がる。 いまのカネ余りが一転して、経済全般がカネ詰りに追い込まれる。
問題は、このプラス面からマイナス面への転換だが、ほんのちょっとしたきっかけでも発生してしまうことだ。
この長期投資家日記でずっと主張してきているように、カネ余りバブル化した金融マーケットは、いつ崩れてもおかしくない。
それは、金融マーケットはもちろん張りぼて経済の大収縮を招くだけではない。
カネ余りバブルに踊ってきた投資家や金融機関の多くが巨額の投資評価損や不良債権を抱えることになる。
そんな図式は見たくもないと、金融緩和をづつけてきた結果が世界的なインフレ圧力と金利上昇である。
こちらは実体経済から突き刺さってきた刃であって、避けては通れない道と覚悟しよう。
大きな混乱の先に、実体経済をベースとした金融や投資の姿が見えてこよう。