昨日のNY市場は大きく戻した。 ダウ平均で1000ドルを超す上昇は、一日の上昇分では史上はじめてのこと。
あれだけドサドサッと下がって、これだけ戻すなんて、一般の投資家にとっては「もういい加減にしてよ」だろうね。
日本でも世界でも、相場を追いかけては、相場を相手に値ざやを稼ごうとするのを投資と思っている人たちがほとんど。
これは個人のみならず、機関投資家も同じこと。 だから、先週までの棒下げになす術もなく、昨日の急反発にもついていけない。
というか、相場を相手にしている彼らが相場を後追いすることで、棒下げや急反発をより大きなものにしているわけだ。
そう、「もういい加減にしてよ」といっている一般投資家も、なんのことはない棒下げや急反発に参加しているのだ。
いや、私は違う! そういうのなら、昨日までの下げで買い増しをしましたかと尋ねてみよう。
ほとんどの投資家は買うどころか、暴落相場をただただ呆然と見守るだけだったはず。
別に、その人たちを責めているわけではない。 彼らはひたすら相場を追いかけるディーリング投資家であり、マーケットにおいて大事な存在である。
問題は、本格的な長期投資家がいないことだ。 世界的にみても、われわれのような長期投資家は絶滅危惧種みたいなもの。
だから、夏までの投機買いの嵐に沸き上るだけで、長期投資家らしい早めの利益確定をして買いポジションを下げておこうといった売りも出なかった。
ほとんどの投資家が売っていなかったから、10月半ばからは熟した柿が落ちるように相場は下げに転じ、次々と落っこちていった。
ディーリング投資家たちによる大慌ての売り急ぎで、相場は棒下げとなったさせてしまったわけだ。
本来なら、棒下げ相場にはここぞと買い向かってくる長期投資家の出番である。 それが、さっぱり出てこない。
これが、世界の株式市場の現状である。 そういった現状を踏まえた上で、どう運用益を出していくか。
世界の機関投資家のディーリング手法はどんどん高度化していっているのは、そういった対応である。
とはいえ、それは小手先細工にすぎない。 あるべきは、本格的な長期投資家の復活である。
それを、年金などの機関投資家に求めるのは難しい。 なにしろ、彼らは毎年の成績を出すことを至上命令としているのだから。
となると、個人の間で本格的な長期投資を広めていくしかない。 ありがたいことに、個人の場合は毎年の成績に追いまくられることなく、5年と10年といった時間軸で投資できる。
今回の下げでも実感したはず。 相場が大きく崩れたら、さっさと応援したき企業の株式を買っておけばいいだけのこと。
長期投資なんて楽なものである。 慣れてしまえば、誰にだってできる。 したがって、個人の財産づくりにピッタリなんだ。